"血染めの写真と三文字のSOS" 第5話
声をげて泣くことすらしていた女が、私のでようやく子供らしい涙を流したのだ。
「もう丈夫だからな。君は本当によく頑張った」
くの空から、ウーウーというサイレンの音がづいてきた。
「ほら、救急が来たぞ。お母さんを病院へ連れてってもらおうな」
救急隊員たちが駆け込み、際よく女性をストレッチャーへと固定していく。続いてパトカーも到着し、私は警察官にコンビニで写真を拾ってからここへ辿り着くまでの経緯を簡潔に説した。
「コンビニで写真を拾って、血の乾き具から緊急性を判断して駆けつけたと……迅速で確な判断でしたね。ありがとうございます」
警察官にをげられ、私は救急へと線を戻した。
美桜ちゃんはストレッチャーの脇にぴったりと寄り添い、母親のをさなで握りしめていた。隊員に促されて内へ乗り込む直、美桜ちゃんがふいにち止まり、振り返って私を見た。
「……おじさん」
「ん?」
「……ありがとう」
その言を残し、救急の部ドアがバタンと閉ざされた。
赤灯を激しく滅させながらりる救急のテールランプを見送り、私は警察官に連絡先を伝えた、自分のを回収して救急が向かった総病院へと急いだ。
病院の待のプラスチック製のベンチで待つこと余り。
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診察を終えた医師から説を受けることができた。
母親の名は柏結さん。の複雑骨折で全治ヶの傷であり、プレートを埋め込む術が必なため、最でも数週の入院を余儀なくされるとのことだった。
病に入ると、ベッドので点滴を受けた結さんが横たわっていた。その傍らの丸子に、包帯を巻かれたさなを膝のに置き、美桜ちゃんがさくなって座っていた。
「お母さんの入院、美桜ちゃんを預かってくれる親戚やご族の方はいらっしゃいますか?」
医師の問いかけに対し、結さんは力なく首を横に振った。
「……いません。私たち……寄りがまったくなくて……」
結さんの声は掠れ、絶望に震えていた。の激痛だけでなく、残される幼い娘のく末を案じ、泣きしそうな表を浮かべている。
その々しい親子の姿を見つめていた私は、気がつけばをいていた。
「……俺が、美桜ちゃんを預かります」
「え……?」
結さんが信じられないといった面持ちで目を見いた。美桜ちゃんもパッと顔をげる。
「私の実には両親もいますし、歳になる息子もいます。美桜ちゃんと歳もいですから、退院されるまでの、うちで責任を持ってお預かりしますよ」
「で、でも……そんな、見ずらずの私たちに、そこまでご迷惑をおかけするわけには……!」
「迷惑なんかじゃありません。あの写真を見つけたから、俺はもう関係者ですから。放っておくことなんてできませんよ」
結さんの目から、堰を切ったように涙が溢れした。ベッドので何度もをげようとする彼女を、私は慌ててで制した。
「配しないで、治療に専してください。美桜ちゃんのことは、俺たち族がちゃんと見守りますから」
「ありがとう……ございます……本当に、ありがとうございます……!」
美桜ちゃんがベッドに歩み寄り、結さんのをぎゅっと握りしめた。
「お母さん、泣かないで……」
そのさなろ姿を見つめながら、私はこの親子を必ず守り抜くのだと、の奥底で固く決していた。
病院をて、夕が濃くなった宅を美桜ちゃんのを引いて歩いた。
実の玄関の引き戸をけると、にはすでに母がエプロン姿で待ち構えていた。
「俊介から話で聞いたわよ。美桜ちゃんね、いらっしゃい」
母が優しく腰を落として微笑みかけると、美桜ちゃんは私のろにサッと隠れ、私のズボンの裾を握りしめながらペコリとさくをげた。
「お腹空いてないかい? 今、温かいご飯を作ってるからね」
「おお、変だったな。寒かったろう、くがりなさい」
居から顔をした父も、温な目尻をげて声をかける。しかし、美桜ちゃんは緊張で固まったまま、私の背からこうとしない。
見らぬたちに囲まれ、恐怖と戸惑いで体が張っているのだ。