"血染めの写真と三文字のSOS" 第2話
「は、はい! いらっしゃいませ……どうされましたか?」
「これ、さっきそこのに落ちていたんです。見てください」
私が差しした写真の裏面を見た瞬、員の顔から気に血の気が引いていくのが分かった。
「こ……これ、血ですか……!?」
「おそらく本物の血です。しかも、まだ乾いていません。裏を見てください、所とSOSっていてあります」
「えっ……嘘でしょう……? ど、どうしましょう、警察に届けた方がいいですかね……!?」
員のが刻みに震え、揺を隠せない様子で周囲の同僚を呼ぼうと線を泳がせた。無理もない。平穏なコンビニのレジで、血染めの救難信号を突きつけられれば誰だってパニックになる。
「員さん、落ち着いてください。今すぐ警察に話して、この写真のことを通報してもらえますか? 所はここにいてある通りです。俺は、この所の所に直接ってみます」
「えっ!? で、でもお客さん、危ないんじゃ……!」
「この血、ついてからまだ数分も経っていません! 今すぐかないと、遅れになるかもしれないんです!」
私は写真スタジオを経営し、毎写真というとインク、そして被写体と向きっている。写真用に付着した液体の乾き具や変の度いを見れば、それがいつ付着したものか、素よりもずっと鋭く察できるのだ。この血は、ほんのしまでの体内を流れていたものだ。
広告
誰かが今、この瞬も痛みに耐え、助けを待っている。
「わかりました! すぐに警察に通報します!」
「お願いします! 所のメモを渡しますから、警察に伝えてください!」
私はレジのメモ用にりきで所を写し取って員に押し付けると、太のをく引いてコンビニの自ドアを蹴破るような勢いでへびした。
夕暮れのたいが、温かい頬を鋭く撫でていく。
「父ちゃん、どうしたの……!? すっごく怖い顔してるよ!」
息を切らしながらりでついてくる太が、半泣きになりながら私の顔を見げてくる。
「太、今からじいちゃんとばあちゃんのにくぞ。いいな?」
「えっ、なんで!? アイスは……?」
「アイスはでいくらでも買ってやるから! 今はとにかく急ぐんだ!」
私はスマートフォンを取りし、りながら実の番号をタップした。に当てたスピーカーからツルルという呼びし音が鳴り響き、コール目で母がた。
『もしもし、俊介? どうしたの、そんなに息を切らして……』
「母さん! 今から太をそっちに預けていいか!? どうしてもせない急用ができたんだ!」
『急用って……何かあったの!?』
「でちゃんと説するから! 頼む、太を頼む!」
『……わかったわ! すぐ来なさい、玄関をけて待ってるから!』
通話を切ると同に実のが見え、私は玄関先にっていた母の腕のへ太を預けた。
事を尋ねようとする母を「で!」とで制し、私は写真にかれていた所を目指して、全力でアスファルトのを蹴りした。
私の名は俊介。今で歳になる。
まれ育ったこの町で、個経営の写真スタジオ『フォトルーム』をちげ、カメラマンとして計をてている。
今朝の卓の景が、る私の脳裏をかすめた。
『父ちゃん、今の撮は何から?』
歳の太が、トーストを頬張りながら尋ねてきた朝のことだ。まだ幼いながらも、私の仕事に入り浸ってはカメラのボディやレンズを触りたがるあいつは、学が休みの週末になると必ずスタジオについてくる。
『からだよ。今はの撮りが入ってるんだ』
『やった! 俺も見学していい?』
『いいけど、お客様の邪魔だけは絶対にすんなよ』
『分かってるってば!』
そんなのない会話を交わしていた。
、元妻から「あんたと子供の面倒を見るより、自分のキャリアの方が事だから」とたく言い放たれ、婚届を突きつけられた。突然のシングルファーザー活に、最初は目のが真っ暗になり、途方に暮れるばかりだった。しかし、歩いて分ほどの距にむ両親が惜しみないを差し伸べてくれたおかげで、今では太と、何とか笑いえる平穏な常を取り戻すことができていたのだ。
『俊介、おはよう。今もみんなのお弁当を作ってきたわよ』