"全盲の義母が言い当てた味噌汁の色" 第7話
まるで、量の気を含んだゴミと、陶器か何かのたい容器がぎっしりと詰め込まれているかのような異様な応えだった。
胸騒ぎを覚えた私は、にしゃがみ込み、固く結ばれていたポリ袋の結び目を、指先を痛めながら必に解いた。 そして、袋のをきく押し広げた瞬――私は、肺のの空気をすべて吐きすようにして息を呑んだ。
袋の最部に無造作に放り込まれていたのは、私が昨、を込めて作ったはずのあの夕の数々だった。 タッパーからそのまま流し込まれたのであろう、も箸をつけられていない派な鱈の京焼き。 美しく面取りされた参や里芋がそのままの形で残る、つかずの煮物。 茶碗杯分の真っなご飯の塊。 そして、底の方には、今朝空っぽになっていてんだはずの、あの豚汁の具材と汁が、ビニール袋の底に無残にヘドロのように沈殿していたのだ。
「……うそ……でしょ……」
指先が、ガタガタと激しく震えした。 私の作った料理が、何つべられることなく、そのままゴミとして廃棄されていたという残酷な現実。 だが、私の受けるべき衝撃は、それだけではとどまらなかった。
ポリ袋をさらにく覗き込んだ私の目に、ゴミの隙から覗く、鮮やかな量のプラスチック容器がび込んできたのだ。
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箔のあしらわれた級寿司の折り箱、真空パックされた特選牛ステーキのトレイ、彩り豊かなオードブルが詰められていたのであろう級フレンチの円形容器。 そして、その容器の隙から、クシャクシャに丸められた何枚ものレシートが零れ落ちてきた。
私はたくなったで、そのレシートを枚、また枚と拾いげた。 『座 寿司 特にぎり 万千円』 『丘のフレンチ シェフ特製フルコース 万千円』 『割烹 千代田 鰻極 千円』……。
レシートの印字面を覆い尽くす、目も眩むような額な数字の羅列。 そして、そこに刻印された配達は、昨、昨、先週の曜、そのの曜……。 毎、例なく、私が夕を届けてちった直の、夕方からの帯に集していたのだ。
全の毛穴から、ヒヤリとしたたい汗が噴きしていくのをじた。 義母は、目が見えないはずだ。 文字も読めず、話のボタンも探りでしか押せないはずの盲目の老が、どうやって毎、異なる級料理へ話やアプリでデリバリーの注文を入れ、配達員から商品を受け取っているというのか。
体、いつからだ。 私が毎、パートの料を削り、自分の眠を削り、を込めて作りしてきた料理の数々を、義母は『美玲さんの料理が番美しいわ』と慈の笑みを浮かべて受け取りながら、私が玄関をたその瞬にゴミ箱へと投げ捨て、裏で級デリバリーの豪勢な料理を貪りっていたのだ。
台所のたいタイルのに、私は力なくへたり込んだ。 界が涙で滲み、膝が震えてちがることができない。 この、私が捧げてきた、労力、そしてき母へのいをねた祈りのような献は、体何だったのだろう。 『美玲さんがいないと、私はもきていけないの』 あの涙混じりの言葉は、私を都よく縛り付け、タダ働きさせるための、汚い呪文に過ぎなかったのだ。
りよりも先に、底れぬ虚しさと悔しさが津波のように押し寄せてきて、私は暗い台所で、声を殺して慟哭したのだった。
そのの夜、張から帰宅した健太が、リビングのソファにドカリと腰をろしてネクタイを緩めた。 私は台所で夕の準備をするを止め、ビニール袋から取りしてジップロックに保しておいた、あの数枚のデリバリーのレシートの束を握りしめ、夫ののローテーブルへと静かに叩きつけた。
「……ねえ、健太さん。お母さんのことなんだけど、これを見てほしいの」
カサリと音をてて散らばったレシートに、健太は怪訝そうに眉を寄せた。 「あ? なんだよこれ。俺は張帰りで疲れてるんだよ。母さんがどうかしたのか?」 「今、あなたが張でいなかったから、私がお母さんののゴミしをしたのよ。