みかん小説
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"全盲の義母が言い当てた味噌汁の色" 第2話

しかし――その翌朝、私は実の台所で、が目を疑うようなあまりにおぞましい景を目撃することになる。

の夜、義母が「全部綺麗にいただいたわ」と言ってシンクに置いてあった、あの空っぽになっていたはずの保温鍋。 そのだったはずの、丹精込めて作った煮物や焼き魚、そしてご飯が、ゴミを入れる半透のポリ袋のに、つかずのまま無残にぶち撒けられていたのだ。 それだけではなかった。 ゴミ袋のをけた瞬、ゴミの底から現れたのは、級寿司の号が文字で印刷された寿司折の空き箱、老舗フレンチレストランのテイクアウト用プラスチック容器、そして何枚ものデリバリーのレシートのだった。

義母は、私が何もかけて作った料理を、もべてなどいなかったのだ。

朝の暗い台所で、震える指先でその油まみれのレシートを拾いげた瞬、私のので何かが音をてて千切れた。 もう、これ以この茶番のような嘘に付きうのは、終わりにしよう。 私はレシートを握りしめたままちがり、静かに、けれど揺るぎない徹な決を固めた。 そして私が起こしたあるによって、の、いの向こうに隠され続けていた義母の悍ましい秘密は、すべてのに晒されることとなったのである。

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私の名は佐々美玲、今で歳になる。夫の健太と結婚して、今での歳が流れた。 世から見れば、どこにでもいるごく平凡な専業主婦に見えるはずだった。しかし、実際の私の常といえば、主婦というよりも、無でこき使われる専属の介護士のような活そのものだった。

毎、欠かすことなく義母のかず子のために度の事のメニューを考え、栄養バランスを計算した夕を作り、で分ほどの距にある義母のまで運び、べ終えた器を回収して片付ける。百、猛暑のものも、インフルエンザでをしたですら、私はたりともその役目を休んだことがなかった。 それが嫁として果たすべき当然の義務なのだと、自分のに鞭を打ち続けてきたからだ。

義母のかず子は、今で歳を迎える。 今から、私と健太が籍を入れる直に遭ったきな交通事故によって神経を損傷し、それ以来、両目の力を完全に失ったとされていた。 私たちは義母とは同居しておらず、でしった別々ので暮らしていた。 『母さんは目が見えないんだから、事の世話くらい嫁のおがやってあげるのが当然だろ。俺は仕事で忙しいんだからさ』 結婚当初、夫の健太から平然とそう言い放たれて以来、私は今に至るまで、義母のの回りの世話をに引き受け続けてきたのだ。

最初は、純粋な気持ちだった。 しい族の員として役にちたい、自由な義母をしでも支えてあげたい、健太の力になりたい――そう願って、懸命に腕を振るっていた。しかし、気づけば義母の嫌を伺い、義母のために尽くし、義母の活を支えることだけが、私ののすべてを埋め尽くしてしまっていたのだ。

義母のかず子は、元々は驚くほど料理が得な女性だった。 結婚、健太に連れられて初めて夫の実へ挨拶に訪れたのことを、私は今でも鮮に覚えている。 その、義母は鮮やかな料理の数々で、客である私を温かくもてなしてくれた。 ダイニングテーブルのに並べられた料理の数々は、彼女のそのもののように丁寧で、美しく、そしてどこまでも繊細だった。 炊きたての真っなご飯からちる甘い湯気、昆布と鰹節から丁寧に取られた汁のりがふんわりと腔をくすぐる噌汁、面取りが施され、煮崩れひとつなく照りよく炊きげられた根菜の煮物、そして皮目がパリッと黄に焼かれた旬の焼き魚。

『料理っていうのはね、美玲さん、そのものなのよ。作りがほんのしでもを抜いたら、べるにはすぐに見抜かれちゃうんだからね』

割烹着を着た義母は、自げに目を細め、自信に満ち溢れた誇らしい表で料理をテーブルへと並べていた。

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