"夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉" 第14話
表示された名は、『お義母さん』。
最初の鳴が届いた。
私は数回のコールの、あえてし眠たそうな、の抜けた声で話にた。
「はい、もしもし……」
話の向こうから聞こえてきたのは、もはや声とは呼べない、鳴にい絶叫だった。
「み咲さん!変なのよ!」
里子の声は、パニックと恐怖で完全にずっている。
昨のヒステリックな声とは全く違う種類の声だった。
「今すぐネットを見て!拓也と麗子が、とんでもないことになってるの!」
「ええ?ネットですか?すみません、私昨夜勤けで、今まで寝てて……」
私はあくまで、何もらない呑気な嫁を演じきる。
里子がヒステリックに叫び返す。
「いいからく見て!画が!拓也たちの昨の事故の画が、世界に広まってるのよ!」
「えっ、そんな……」
私はわざと驚いた声をげる。
その、話の向こうでガチャリとドアがく音がした。
そして微かに、テレビのワイドショーの音声が聞こえてきた。
『次のニュースです。インターネットで拡散され、物議を醸している衝撃な画についてです。昨未、都内の病院に結したままの状態で男女が搬送され……』
里子も、同じニュースを見ていたのだろう。
彼女の息を呑む音が、受話器越しに伝わってきた。
「どう、どうしよう、どうしたらいいの!」
里子は泣きそうな声で訴える。
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「会社の社からも話が来て、拓也は懲戒解雇になるかもしれないって!麗子の婚約者からも、婚約はにさせてくれって……もうめちゃくちゃよ!」
ああ、そうか。
麗子には婚約者がいたのか。それはらなかった。
だが、もう関係ない。
全ては終わったのだから。
私はそんな義母の狼狽ぶりを、ただ静かに聞いていた。
のに、たい満が広がっていく。
「落ち着いてください、お義母さん」
私は優しくなだめるように言う。
「まずは、その画が本当に拓也さんたちのものなのか、確認しないと」
里子が切り声をげる。
「違いないわよ!どうして、どうしてこんな画がに漏れてるの!病院はどうなってるのよ!」
里子のりの矛先が、今度は病院へと向かう。
「絶対に許さない!侵害で訴えてやるわ!損害賠償を請求してやる!」
ああ、そうだ。
そうやってくれなければ困る。
「お義母さん、だとしたら変なことです。すぐに弁護士に相談した方がいいかもしれませんね」
私は彼女のりを煽るように、静に助言する。
「当たりよ!最の弁護士を雇って、病院をめちゃくちゃにしてやるんだから!」
どうぞご自由に。
ので、私は微笑んだ。
あなたがそうやって騒げば騒ぐほど、事態はきくなる。
世の注目はさらにまり、あなたたちの罪は、よりくの々のるところとなる。
そして、私が仕掛けた最の罠が、最の形で発するのだから。
話を切った、私はゆっくりとちがった。
そして、クローゼットの奥から1着のスーツを取りす。
それは、私が滅に着ることのない、黒いパンツスーツだった。
のショーに備えて、装の準備をしなければ。
私の復讐は、まだ始まったばかりなのだから。
翌朝、病院は戦と化していた。
正面玄関にはニュース専チャンネルの継が何台も止まり。
報を聞きつけ集まってきた野次馬と、それを制止する警備員とでごった返している。
私が昨夜放ったさなは、社会という名のに巨な波紋を広げ続けていた。
私は黒いパンツスーツにを包み、裏から院内に入った。
夜勤けの非番である私が勤してきたことに、何かの同僚が驚きの線を向けた。
だが、私は誰とも目をわせず、まっすぐに院へと向かう。
昨夜のうちに鈴先から、「の朝、院が事聴取をいたいと言っている」と連絡が入っていたのだ。
院の扉をノックすると、「入れ」という疲労の滲む声がした。
には、晩で髪を増やした様子の田院と、目のにい隈を作った鈴先が、い表で座っていた。
田院が憔悴しきった顔で私に言った。
「佐藤君、朝くから済まないね」
彼はくため息をつく。
「君も被害者であることは々承している。だが、事態が事態だ。昨夜の状況を改めて詳しく聞かせてもらえるだろうか」