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"夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉" 第11話

だが、その配慮が私にとっては最の追いとなった。

拓也が運ばれた第2術。

ここには、鈴先と執刀医の若医師、そして私しかいない。

先ほどまでの喧騒が嘘のように、静まり返っている。

術が始まると、私はここでも完璧なアシストをこなした。

確な器具の渡し、バイタルのチェック、医師の汗を拭う。

その働きぶりは、普段の私のものだった。

若医師は、私のあまりに静な姿に、逆に萎縮しているようだった。

そして、術が終盤に差し掛かった頃。

私は、あるにた。

「先、すみません。し気分が……」

私はわざと顔を青くさせ、ふらついてみせた。

にわたる極度の緊張と疲労。

麗子を支え続けた肉体なダメージ。

私が倒れたとしても、誰も審にはわないだろう。

鈴先が慌てて私の体を支える。

「佐藤さん、丈夫か?」

彼は私の顔を見て、言った。

「分かった。もういい。あとは俺たちでやる。君は休憩で休んでいなさい」

私はをげた。

「申し訳ありません」

私は罪悪に苛まれる若医師と、底配してくれる鈴先に背を向けた。

よろよろとした取りで、術をにする。

自ドアが閉まり、1になった瞬。

私は先ほどまでの虚な演技を、ぴたりとやめた。

そして、壁にをつき、息を殺しながら歩みをめる。

向かう先は。

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ここは、術エリアの片隅にある、普段はほとんど使われていない古いリネンだった。

この病院に勤めている者しからない、まさに秘密の部。

私はポケットからあらかじめ用しておいた鍵を取りし、鍵穴に差し込んだ。

ギイッと音をてて、い鉄の扉がく。

は、カビと埃の匂いがち込めていた。

その部の奥には、もう1つさな扉がある。

その扉は、院内のITインフラを管理するサーバーへと繋がっていた。

もちろん、本来は厳にロックされている。

だが、このリネン側の扉だけは、なぜか昔から鍵が甘いことを私はっていた。

案の定、扉はし力を込めて引くだけで簡単にいた。

無数のケーブルと、唸りをげるサーバーが並ぶ暗い部。

私はそのの1台のサーバーのでを止めた。

『SURG_reco 術記録システム』

プレートにはそうかれている。

これこそが、先ほどの術の全てを記録した映像データが保されているサーバーだ。

私は、あらかじめのポケットに忍ばせておいた、私物のUSBメモリを取りした。

そして、サーバーのメンテナンス用ポートにそれを差し込む。

本来、サーバーには度なセキュリティがかかっているはずだ。

だが、私はっていた。

数ヶ、このシステムの導入を担当した業者の1が、メンテナンスの便宜のためにバックドア、裏を仕掛けていたこと。

そして、そのアクセス方法を、偶然にも私がってしまったこと。

もちろん普通なら、そんな報をっていても悪用しようなどとはわない。

だが、今の私は普通ではなかった。

数分、私のUSBメモリには、先ほどの獄への記録全てが、完全にコピーされていた。

井のメインカメラが捉えた、無惨に結した2の全景。

医師の元を映すサブカメラが捉えた、醜い患部のアップ。

義母が私に浴びせた罵詈雑言の音声。

私が麗子を必に支える姿。

そして、分の瞬。

全てが画質、音質で克に記録されていた。

いや、正確には、分される直までの映像が。

私が仕掛けた、もう1つの罠。

コンセントタップに仕掛けた、あの漏。

あれは、ショートさせてを起こすためではない。

そんなことをすれば、すぐにバレてしまう。

狙いは、ほんの瞬、定な圧を発させること。

それによって、記録システムの映像と音声にほんのわずかなノイズを発させ、そして最もな、分が完した瞬のデータだけを図に破損させることだった。

つまり、この映像を見た者はこううだろう。

この2は、まだ結したまま病院にいる、と。

データを抜き終えた私は、何事もなかったかのようにサーバーをにした。

リネンの扉に鍵をかけ、再びふらついた取りで休憩へと向かう。

廊の窓から、がみ始めているのが見えた。

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