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"夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉" 第9話

そして、メスが麗子の腹部にく入れられた。

鮮血がび散る。

私の孤独な戦いが始まった。

1分、また1分とが過ぎていく。

腕の覚は、とうの昔になくなっていた。

あるのは、焼けつくような痛みだけ。

肩も、背も、腰も、体の筋肉が鳴をげている。

界が微かに霞んできた。

目ので繰り広げられる術の景も、医師たちの声も、まるでい世界の来事のようにじられる。

まだだ。

まだ倒れるわけにはいかない。

私は唇をく噛み締めた。

鉄のが、のに広がる。

この獄のような苦しみので、私の脳裏に蘇ってきたのは、拓也と麗子から浴びせられ続けた数々の言葉だった。

『おは本当に役たずだな』

『護師なんて、所詮誰でもできる仕事だろ』

『み咲さんは、子供も産めない半ね』

見され、侮辱され、尊厳を奪われ続けた々。

その悔しさが、りが、憎しみが、議と私の体に力を与えた。

見ているか、拓也、麗子。

おたちが散々見してきたこの護師が、今、おたちの命をその腕本で支えているんだ。

おたちが馬鹿にしてきたこの役たずがいなければ、おたちは今頃、2揃って獄の底だ。

どれくらいのが経っただろうか。

永にもじられる苦痛の果てに、田先の声が聞こえた。

「よし、止血完。バイタル定したぞ」

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その言葉を聞いた瞬、私の膝からガクンと力が抜けた。

支えていた麗子の体が、再び拓也のに崩れ落ちる。

私もまた、そのに倒れ込みそうになる。

それを、隣にいた嵐さんが必で支えてくれた。

「佐藤さん、しっかりしてください!」

もう指本かす力も残っていなかった。

だが、私の役目はまだ終わらない。

朦朧とする識の、私は最の力を振り絞って鈴先を見つめた。

「先……これからが、本番ですよ」

私の掠れた声を聞いた鈴先は、ハッとしたように目を見いた。

そして、何かを察したように、静かに、しかし力く頷いた。

これから始まる、本当の復讐。

そのための準備は、全てったのだ。

麗子の命の危がったことで、術の空気は瞬だけ堵に包まれた。

だが、私たちの仕事はまだ終わっていない。

むしろ、ここからが本番だった。

鈴先が再び声を張りげる。

「よし、第2段階だ。科に分する」

鈴先の指示で、今度は拓也の体を覆っていたシーツが、完全に取り払われる。

わになった2の醜い結部を、医師たちが厳しい目つきで観察する。

田先が腕を組んで唸る。

「かなりく嵌頓しているな。無理に引き剥がせば、組織が断裂して、男性器に再起能のダメージが残る能性がい」

若い科医が、そうに尋ねる。

「では、どうするんですか?」

田先は幹部を見つめたまま答えた。

「恥骨のあたりをしだけ切して、スペースを作るしかないだろう。だが、非常にデリケートな部分だ。しでも元が狂えば……」

医師たちので、再び緊張のい議論が交わされる。

その、私はに崩れ落ちたまま、荒い息をえていた。

嵐さんが持ってきてくれたスポーツドリンクを必にみ干し、失われた体力をしでも回復させようと努める。

腕は鉛のようにく、全の筋肉が痙攣している。

だが、私のは驚くほど静に回転していた。

財布の紐。

いや、それではまた温い。

私は朦朧とする識ので、ある計画を練っていた。

それは、この術に来るから、いや、ホットラインで2の状況を聞いた瞬から、漠然とのにあった計画だった。

この2を、社会に完全に抹殺する方法。

2度と誰のでも顔をげられなくする、完璧な復讐。

そのために必なあるものが、この病院には揃っていた。

私は壁にをつきながら、ゆっくりとちがった。

ふらつくで、鈴先のそばまで歩み寄る。

「鈴先」

私が声をかけると、鈴先は驚いたように目を見いた。

「佐藤さん、君はもう分だ。あとは俺たちに任せて、休んでいてくれ」

私は首を横に振った。

「いえ、最まで見届けさせてください。

それが私の責任ですから」

私の瞳に宿る、尋常ではない覚悟をじ取ったのだろう。

鈴先は、それ以何も言わなかった。

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