"貧乏老人を嘲笑った行員の末路" 第8話
その、支のに黒塗りの公用が滑り込むように止まった。りったのは、髪にいひげをえた紳士。の取締役である羽義である。本から駆けつけたまま、ネクタイの緩みも直さずにロビーへ駆け込んできたのだ。
「会、本当に、本当に申し訳ございませんでした……!」
羽はそのでロビーの央でくをげた。のトップである取締役のその姿勢に、藤堂と神崎の表が完全に凍りついた。
ちょうどその、ロビーの型計がを告げた。自扉が再び静かにく。グレーのスーツにを包んだ倉持がロビーにを踏み入れた。
「会、お迎えに参りました。きっかりでございます」
その言で、ロビーの空気が変した。全ては久音次郎の事の指示通りにんでいった。神崎のから業務端末が滑り落ち、乾いた音をてる。
「クオン会、何か誤解があるかと……私は現の混乱を納めようとしただけで……」
藤堂の額から油汗が滝のように流れ落ちる。次郎は線を藤堂に移した。
「現の混乱を作ったのは君だ。客の振り分けに差別なラベルをつけ、の篠崎さんに責任を押し付けようとした。その、神崎員のSNSの問題まで彼女のせいにしようとした」
「いえいえ、それは……」
「藤堂君に申しげる。本で保全した支内の防犯カメラ映像と、神崎員のSNS投稿履歴。
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そこには、篠崎希員が神崎員の投稿を体を張って止めようとしていた面がはっきりと記録されている」
藤堂の顔がみるみる青ざめていく。
「篠崎員は、として止めるべきものを止めようとしていた。それを教育き届きとき換えて申にあげる。その筋きを私は許さない」
神崎の顔が青ざめた。嘘で塗り固めた筋きで、の若い員を潰そうとする。それが君たちの業務改善だったのか――。藤堂は返す言葉を見つけられなかった。
「藤堂、今、おがをくたびにこのの信用が失われていくんだ。黙りなさい」
ロビーの隅で様子を見ていた員たちから、さく息を吐く漏れ音が聞こえた。次郎はゆっくりと神崎と藤堂を見た。
「私も若い頃は何度も見されてきた。この鞄も、古い着も、い緒に働いてきた事なものだ。見た目だけでを判断するに、本当の信用は築けない。は使ってこそがある。そして、何を目に使うかがなのだ。の価値を決めるためのものじゃない」
ロビーはを打ったように静まり返っていった。員たちはただ黙って次郎を見つめていた。
「会のお言葉で、として番切なことを改めていしました。のいものに流されれば、判断を誤ることもあります。
本あったことをどうか忘れないでください」
倉持の声に、ロビーにいた員たちがくをげた。
「会、お願いします! もう度だけ私にチャンスを……!」
藤堂は声を震わせながら必に言葉を続ける。神崎も青ざめた顔のままにをついてをげた。
「会、すみませんでした! 俺、ただフォロワーが欲しくて……!」
次郎はを黙って見つめていた。やがて、ゆっくりと首を横に振った。
「君たちは途で、を見すのをやめることもできたはずだ。改善するも分にあった。しかし、何も変わらなかった。傲な員のままだった。……ふう。君たちのよような員がいてはこの支に未来はないよ」
「そ、そんな……」
その言葉に、藤堂と神崎は何も反論できず、そのに崩れ落ちた。次郎は窓のでち尽くす希へと歩み寄った。
「篠崎さん」
「はい」
「君は何つ違っていなかった。今のことを涯、誇りにいなさい」
「会……」
「君のような員さんがいてくれて私は救われたよ。その当たりができないもいのだよ」
「クオンさん、ありがとうございます……!」
希の喉の奥がぐっと詰まった。涙が堰を切ったように溢れす。ロビーの隅で見守っていた員たちが、誰からともなくくをげた。窓でち尽くす員に向かって、支のが斉にがっていった。
「篠崎員。今のことは本も含め、必ず正式に評価させていただく」