"深夜2時、隣家の物置で赤ん坊を抱く4歳児" 第8話
ひなは、俯いて答えた。
「でも、私がメイを守らないと」
りんは、ひなのをしく握った。
「守りたい気持ちは素敵だよ。でもね、今は私たちがいるから、ひなちゃんも守られていいんだよ」
ひなは、議そうな顔をした。
「守られる?」
りんは、優しく頷いた。
「そう。ひなちゃんはまだ4歳なんだから、に甘えていいの」
ひなは、りんの言葉を聞いて涙をこらえているようだった。
だが、の奥底ではまだ完全には信じきれないのだろう。
俺は、ひなの反対側に座って言った。
「ひなちゃん、俺たちを信じてほしい。泣いても、誰もらない。メイちゃんが泣いても、ひなちゃんのせいじゃない」
ひなは、俺の目を見た。
「本当に?」
俺は、確信を込めて言った。
「本当だよ。何があっても、俺たちはひなちゃんとメイちゃんを守る」
りんも、それに同調した。
「丈夫だよ、ひなちゃん」
りんが何度も繰り返す優しい言葉に、ひなはしずつ緊張を解いていった。
フォークを持つから力が抜け、パンケーキをべるペースががった。
朝がちょうど終わる頃、玄関のチャイムがピンポーンと鳴った。
児童相談所の職員が到着したのだ。
母が、玄関の方を見て言った。
「来たわね」
俺は、ちがって玄関へ向かった。
壁掛け計を見ると、ちょうど約束の8だった。
これから、ひなとメイは児童相談所の専のに委ねられることになる。
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それがこの子たちにとって最善のなのは、では分かっている。
だが、別れのがづくにつれ、俺のは鉛のようにくなっていった。
ひなも、玄関に向かう俺の背をそうに見つめている。
俺は、玄関のドアのノブを回して扉をけた。
そこには、スーツを着た30代くらいの女性職員がっていた。
彼女は、丁寧にお辞儀をした。
「おはようございます。児童相談所の田です」
俺も、をげて挨拶を返した。
「おはようございます。相馬です」
田さんは、真面目そうだが、どこか優しそうな雰囲気を持っただった。
俺は、田さんをリビングに案内した。
そして、ソファーに座ってもらい、これまでの事を詳しく説し始めた。
ひなとメイが放置されていた状況、ひなの体にある傷、親が全く帰ってこないこと。
田さんは、メモを取りながら真剣に話を聞いてくれた。
「わかりました。おを保護させていただきます」
俺は、配になって尋ねた。
「この子たちは、丈夫なんでしょうか?」
田さんは、俺の目を見てしっかりと答えた。
「はい。適切なケアを受けられるよう、全力でサポートします」
その、ひなは俺のろに隠れての裾をく握っていた。
初めて会うへの警戒が、ひどくいようだ。
俺は、ろを振り返ってひなに声をかけた。
「ひなちゃん、このは優しいだよ。丈夫」
ひなは、俺のを握るに力を込めた。
「お兄ちゃんと、れたくない」
そのさな声が、俺の胸にグサリと刺さった。
俺は、田さんに向き直った。
「田さん、しをいただけますか?」
田さんは、状況を察して静かに頷いた。
「はい、丈夫です」
俺は、俺のを握るひなのを取った。
「ひなちゃん、ちょっと来て。見せたいものがあるんだ」
ひなは、議そうに聞いた。
「何?」
ひなはひどくそうだったが、俺のをしっかりと握り返してくれた。
俺は、ひなのを引いて民宿の裏庭へと歩きした。
緑荘の庭は台にあり、そこからはが望できる。
庭にると、朝に照らされた青いが目のに広がっていた。
面が、キラキラと眩しく輝いている。
ひなは、その景を見てピタリとち止まった。
「これが、?」
俺は、ひなの横顔を見ながら頷いた。
「そうだよ。昨りんさんが絵本で見せてくれたでしょ。これが、本物のだ」
ひなは、を見つめたまま歩もけなくなっていた。
彼女の目が、驚きでどんどんきくいていく。
「綺麗」
ひなは、さな声で無識に呟いた。
その目には、いつのにか涙が浮かんでいた。
ひなは、ハッとして自分の顔にを当てた。
「泣いちゃ、だめ」
ひなは、慌てて目から溢れる涙を拭おうとした。
だが、俺はひなのそのを優しく止めた。
「泣いていいんだよ」
ひなは、戸惑って俺を見た。
「でも」
俺は、ひなの目を真っ直ぐに見つめた。