"深夜2時、隣家の物置で赤ん坊を抱く4歳児" 第5話
「ひなちゃん、痛かったでしょ?」
続いて、ひなの淡々とした声が聞こえた。
「もう慣れたから、丈夫」
俺は、その言葉を聞いてそのにち尽くした。
それが、何よりも番辛い言葉だった。
虐待されることに慣れるなんて、絶対にあってはならないことだ。
俺は、自分の無力さに苛ち、く拳を握りしめた。
しばらくして、お呂からがったひなとメイがリビングに戻ってきた。
は、母が用した清潔なを着ていた。
しサイズがきめだが、とても温かそうだ。
ひなは、りんのに座り、タオルで髪を乾かしてもらっていた。
ひなの目は、とろんとして眠そうになっている。
俺は、ひなに声をかけた。
「ひなちゃん、もう寝ようか?」
ひなは、目をこすりながら頷いた。
「うん」
俺は、微笑んで言った。
「メイちゃんも、緒に寝よう。俺たちが緒にいるからして」
ひなは、俺の顔を見げて確認するように聞いた。
「本当に?」
俺は、しっかりと答えた。
「約束する」
ひなは、俺の言葉を聞いてしたようにさく微笑んだ。
俺たちは、ひなとメイを客のつに案内した。
ベッドには、清潔なシーツが綺麗に敷かれている。
俺は、ベッドを示して言った。
「ひなちゃん、メイちゃん、ここで寝ようね」
ひなは、ベッドにをついて驚いた声をげた。
「こんなフカフカのベッド、初めて」
その、りんが自分の部から冊の絵本を持ってきた。
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その絵本の表には、青いといイルカの絵が描かれている。
りんは、絵本をひなに見せた。
「ひなちゃん、絵本読んであげようか?」
ひなは、議そうに絵本を見つめた。
「絵本?」
俺は、ひなの反応を見て全てを悟った。
この子は、これまで誰かに絵本を読んでもらったことがないのだ。
りんは、ベッドの縁に腰をろした。
そして、ひなを自分の隣に座らせる。
メイも、りんの膝のに抱かれた。
りんは、絵本をき、ゆっくりと読み始めた。
「むかしむかし、広い広いに、さなお魚さんがんでいました」
りんの優しく穏やかな声が、静かな部に響き渡る。
ひなは、い入るように絵本のページを見つめていた。
絵本のには、真っ青な、い砂浜、そしてカラフルな魚たちが描かれている。
ひなは、嘆の声を漏らした。
「綺麗」
りんは、絵本から目をげてひなに微笑んだ。
「うん。ってとっても綺麗なの。ひなちゃん、を見たことある?」
ひなは、首を傾げて聞き返した。
「って、何でしょうか?」
その無邪気な質問に、りんは瞬だけ言葉を失った。
だが、すぐに優しい声で説を始めた。
「はね、とってもきなのある所なの。ずっと向こうまで続いていて、波の音がザザー、ザザーって聞こえるんだよ」
ひなは、目を輝かせた。
「見てみたい」
りんは、ひなのを撫でた。
「じゃあ、緒に見にこうか。
この民宿から、が見えるんだよ」
ひなは、信じられないという顔をした。
「本当に?」
りんは、きく頷いた。
「本当だよ。蒼太さんも、緒にってくれるよね」
俺は、ドアのからその様子を見守っていたが、声をかけられて部のに入った。
俺は、ひなの顔を見て笑った。
「あ、もちろん。、を見にこう」
ひなは、両をわせてんだ。
「楽しみ」
ひなの顔に、この初めての無邪気な笑顔が浮かんだ。
俺は、その笑顔を見て胸がひどく温かくなるのをじた。
りんは、再び絵本に目を落とし、最まで読み続けた。
やがて、メイがりんの腕ので静かに寝息をて始めた。
りんは、声を潜めて言った。
「メイちゃん、寝ちゃったみたい」
俺は、眠るメイの顔を見つめた。
「メイ、してるんだ」
りんは、ひなの方を向いた。
「ひなちゃんも、していいんだよ。ここはもう全だから」
ひなは、りんの膝にそっとを預けた。
そのさな体が、しずつ緊張を解いて力を抜いていくのが分かった。
ひなが、目を閉じたまま呟いた。
「りんお姉ちゃん、優しいね」
りんは、ひなの背を優しくトントンと叩いた。
「ひなちゃんも、とっても優しいよ。メイちゃんを守ってあげて、すごいね」
ひなは、りんの言葉を静かに聞いていた。
りんは、言葉を続けた。
「でもね、ひなちゃんも、誰かに守られていいんだよ」
ひなは、目をけてりんを見た。
「そうなの?」
りんは、力く頷いた。