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"洋食屋の絆と、高級寿司屋の逆転" 第5話

カウンターの端には、代くらいのサラリーマンの男性客がだけ静かに座っており、がまだしいせいか、にお客さんの姿はなかった。 「予約していた岡田ですけど」 真央が員に告げると、私たちはカウンターの央の特等席へと案内された。奇しくも、先客の男性のすぐ隣の席に通されることになった。

「おい、真央……こんなそうなところ、本当に丈夫なのか? 俺はべるからお会計の配で臓がバクバクしてるぞ……」 私は配になって、真央の元に声で囁いた。 「もう、就職祝いだって言ってるでしょ! それに、ここは私が回プライベートの調査で連れてきてもらって、すっごく美しくてびっくりしたの。絶対にお兄ちゃんに番にべてほしいってってたんだから」 すると、カウンターの向こう側で包丁を握っていた代くらいの将が、私たちのやり取りを聞いてくすっと温かく笑った。 「してください、お客さん。妹さんからあらかじめご予算の希望はしっかりお伺いしておりますから。今は番美しいコースを楽しめるように、最のネタを準備してありますよ。緊張せずに、ゆっくり召しがってください」 その将のしハスキーで温かみのある笑顔は、どこかき父の面をしだけ彷彿とさせ、私の緊張の糸をふっとほぐしてくれた。

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まずはえたビールを杯ずつ注文し、私たちはグラスをわせた。 「お兄ちゃん、改めて……社会になれたこと、そしていつも支えてくれたこと、本当にありがとう。乾杯!」 「ああ、乾杯!」 カチャンとよいグラスの乾杯の音が内に響いた。将は私たちのべるペースを絶妙なタイミングで見計らい、貫ずつ丁寧に握った寿司を目のの皿へと置いてくれた。 「はい、まずは本の真鯛の昆布締めからどうぞ」 目のに置かれた寿司は、職の繊細な仕事がる芸術品のように美しかった。に運ぶと、鯛の品な旨と、ほんのりる昆布のがいっぱいに広がり、わず言葉を失う。 「……うまい」 私のから、嘆の声が自然と漏れた。 「ありがとうございます!」将は嬉しそうに目を細めた。

「私がこうして無事に弁護士になれたのは、お兄ちゃんが自分のを犠牲にしてまで、私をずっと応援して支えてくれたおかげだもん。本当に、ありがとう、お兄ちゃん」 真央から改めてそう面と向かって言われると、私は気恥ずかしくてどこか落ち着かなかったけれど、それ以に胸の奥からいこみげるものがあった。 両親が事故でくなってからの数、真央はショックのあまり言も話さなくなってしまった期があった。私がいくら優しく話しかけても、ただうつむいたまま膝を抱えているだけだった。

そんな暗のにいた真央が、自分の力で自分のを掴み取り、派な弁護士になった。私にとって、これ以のの報いはになかった。

私たちが両親の昔話や、これまでの苦労話を静かに語りっていると、ふと、私たちの隣の席に座っていた先客の男性客が、ちらりと私たちの方へ線を向けた。彼は何か言いたそうな、し複雑な表を浮かべていたけれど、特に声をかけてくることもなく、再び自分の元の寿司に線を戻した。 私がそのことにし首をかしげた、まさにそのだった。

カランコロン、とのの引き戸が勢いよくいた。 「いらっしゃいませ!」 将が威勢の良い声を響かせたその入りから、聞き覚えのある、というよりは職で最も聞き慣れたくない傲な声が内に響き渡った。

「あれ? 岡田じゃん」 私が振り返ると、そこにはが物顔でっている職の営業部員・の姿があった。彼の隣には、ブランド物のバッグをこれでもかと誇示するように抱えた、派な化粧の若い女性がぴったりと寄り添っている。 「……こんばんは」 私は仕事のの作り笑顔を無理やり貼り付け、く挨拶をした。すると、は私たちの皿の並びや、どこか質素に見えた(実際には級だが)私たちの格好をちらっと見すように瞥し、ふっとで盛に笑った。

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