みかん小説
本棚

"底辺受付嬢を見下す役員たちの誤算" 第17話

その、にドアをノックする音が響いた。

私は眉をひそめた。

このに誰が来るというのだろう。

ドアにづいた。

覗き穴からを確認する。

そこにはダークグレーのコートを着た男がっていた。

俯いていて顔はよく見えない。

しかしには封筒を持っている。

封筒には見覚えのあるロゴが印刷されていた。

ケイマン諸島のあの法律事務所のロゴだ。

私はドアノブにをかけた。

すぐにはけなかった。

ケイマン諸島の法律事務所。

それは父がかつて依頼し、私が3に突き止めた資ルートの終着点でもある。

なぜそのが今ここに現れたのか。

私は呼吸をした。

ドアをけた。

コートの男が顔をげた。

40代半ば。

縁の鏡をかけた細の男だ。

いかにも能な弁護士といった貌である。

彼は軽くお辞儀をした。

封筒を差しす。

「林様ですね」

彼は名乗った。

「私は佐々誠。ケイマン諸島の法律事務所のパートナー弁護士です」

彼は封筒を渡した。

「このは、5お父様からお預かりしていたものです」

彼は説した。

「指定された条件が満たされたため、お届けにがりました」

5。

父がくなる2もに、この法律事務所にを預けていた。

指定された条件が満たされたのみ、私に届けられるように。

体どんな条件が、今このを私の元へ導いたのだろうか。

広告

私は封筒を受け取った。

にはみのあるが何枚か入っているようだ。

「どのような条件だったのですか?」

佐々弁護士は鏡を押しげた。

落ち着いた声で答える。

「お父様が設定された条件は、あなたが空グループの役員会に名を連ね、かつ斎藤健と正面から対したです」

彼は続けた。

「私たちは常にあなたの向を注しておりました」

彼は説を加えた。

「最あなたが戦略副社に就任し、斎藤派の勢力があなたを包囲し始めたため、条件が満たされたと判断いたしました」

父は5から今のことを見抜いていたのだ。

私がここまでたどり着くこと、そして斎藤と正面衝突することを予測していた。

彼は私が最も必とする瞬、遥か彼方のケイマン諸島からこのが届くようにしていたのだ。

私は封筒をけた。

には折りたたまれた便箋と、1枚のキャッシュカードが入っていた。

便箋の文字は父の力く、それでいて落ち着いた跡だ。

『桜、おがこのを読む、私はもうこの世にはいないだろう』

『この数、ずっと真実を直接話したいとっていたが、私には勇気がなかった』

『お母さんがくにくなり、おは私にとって唯の気がかりだった』

『こんな汚い権力闘争におを巻き込みたくなかったんだ』

『だが、おの性格ならいつか必ずここまでたどり着くとは分かっていた。

おは誰よりも私の娘だからな』

『斎藤健は私が最も信頼するパートナーだった。緒に起業し、会社をきくした』

『背を預けられる男だとっていた。あの資の流れに気づくまでは』

『彼はにダミー会社を作り、会社の座からしずつを横流ししていた』

『私の名義を隠れ蓑にして、全て自分の懐に入れていたんだ』

『私は彼を告発しようとした』

『だが彼は私より歩かった。役員会の数名を抱き込み、財務記録を改ざんして、全ての責任を私になすりつけた』

『会社は破産し、私は巨額の負債を背負った。彼はを持って空グループへ寝返り、副会に収まった』

『私には反撃する力がなかった』

『だが、最の保険は残しておいた。このキャッシュカードには、私が密かに貯めていたが入っている』

『ではないが、いざというの資にはなるだろう。暗証番号はおの誕だ』

『そしての最に、あの事件に関与した全員のリストを添えてある』

『斎藤を含む7名だ。このリストは誰にも渡さなかった』

『おが巻き込まれるのを恐れたからだ』

『だがここまでたどり着いたおになら任せられる』

『桜、お父さんは甲斐なくてごめんな』

『だが覚えておいてくれ。おはいつまでも私の誇りだ』

便箋の最にはリストが添付されていた。

目見て、7のうち4はすでに私が突き止めている物だった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: