みかん小説
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"底辺受付嬢を見下す役員たちの誤算" 第9話

しかし、彼はドアをきくけた。

体を横に向けて、私をへ招き入れた。

「入りなさい」

部は広くなく、具も質素だった。

ローテーブルのには、帳簿のような古いノートが何冊か積まれている。

本は私にをした。

向かいに座る。

まるで失われた宝物を見るようない差しで、私を見つめた。

「お父さんによく似ているね」

彼がをくと、声はし枯れていた。

「特にその目が」

私は彼を見た。

「本先。父がくなってから3になります」

私はこれまでのことを話した。

「私はずっと当の事件を調べてきました。もう息のところまで来ています」

私は力を込めた。

「最の証拠だけがりないのです」

私は経緯を説した。

「社のハルトさんが、帳簿はあなたが保管していると教えてくれました」

本は何も言わなかった。

俯いて、テーブルのからクッキーの空き缶を取りした。

蓋をける。

油で包まれた茶い封筒が入っていた。

彼はその封筒を、私のへと押しした。

「この数、私はこれに触れることも、誰かに渡すこともできなかった」

彼は封筒を見つめた。

「お父さんに言われていたんだ。娘が直接取りに来ない限り、たとえ空が落ちてこようとも絶対にすなと」

私は封筒を受け取った。

をけた。

の送記録のコピーが束になっている。

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そのには、父の力く几帳面な字でかれたメモがあった。

未来産業の座から、3回に分けてのダミー会社へ資が流れていった全容が記録されている。

全てにと担当者のサインが添えられていた。

最のページには、数の文字がかれている。

急いでき殴ったのか、のページよりもらかに乱れた字だった。

『もし私に何かあれば、この帳簿を桜に渡してくれ。黒幕は役員会のにいる。絶対に忘れるな』

私はを握りしめた。

指先が真っになった。

父がこの文字をいた、自分がもうくは持たないと悟っていたのだろうか。

私は封筒をしまった。

本を見つめる。

「本先、ありがとうございます」

私はくをげた。

「この3、本当にご苦労をおかけしました」

本はを振った。

し目を赤くした。

「私の命は、お父さんに救われたんだよ」

彼は懐かしそうに言った。

「あの、彼がを差し伸べてくれなければ、私はとっくにこの世にいなかった」

彼は微笑んだ。

「これを君のに渡せたことで、ようやく彼への義理が果たせた気がするよ」

私がその古いアパートをた、名古の空はどんよりと曇っていた。

今にもがりしそうだった。

私は元の封筒をく握りしめた。

しかし、のはかつてないほど澄み切っていた。

帳簿はに入れた。

しかし、父の残した「黒幕は役員会のにいる」という言葉が、棘のように神経に突き刺さっている。

田正尾は単なる捨て駒に過ぎなかった。

真の操り形師は、まだチェス盤のろに座り、私が罠にを踏み入れるのを見ているのだ。

ポケットの携帯が震えた。

ハルトからのメッセージだ。

たった言だった。

『会議の録音設備が、田のによって事に細されていた。渡辺ゆりが辞職する、君がまとめたルートのプレゼン資料のコピーを、役員会のある物に渡していたらしい』

私は画面を見つめた。

指先が瞬たくなった。

あの資料には、伊藤健が提供してくれたサプライヤーのデータの部が含まれている。

もし敵のに渡れば、彼らは芋蔓式に証拠を先回りして隠滅できるだろう。

私はハルトに話をかけた。

静な声で尋ねた。

「誰に渡したのか突き止められた?」

話の向こうで2秒の沈黙があった。

ハルトが答えた。

「分かったよ。役員会副会の斎藤健だ」

斎藤健。

役員会でいつもニコニコ笑い、決してと衝突しない温な老。

父が未来産業をちげたからの、最古参の株主の1だ。

私の脳裏で曖昧だった過の記憶が、突然パズルのように組みわさった。

カチッと音をてて、正しい位置に収まる。

私は駅のの、に曇った空を見げた。

たい粒が顔に当たり、をクリアにしてくれる。

帳簿は私の胸のにある。

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