"実家のオンボロ工場を笑った次期社長を54階へ案内した" 第7話
退職の決断と引き継ぎの1か
、私は社に呼びされた。
社にくと、元だけでなく経理の加賀さんやの取り巻きも数集まっていた。今は残そうなふりをしながら、彼は私に結果の報告をしてきた。
「調査した結果、やっぱりおが犯ってことが分かったよ。これが結果をまとめた資料だ。見るか?」
元はバサッと自分の机のに分い資料を放り投げるようにして置いた。
私はその資料を瞥しただけで、に取ろうとはしなかった。どうせは彼らがでっちげた嘘の内容なので、見てもはないだろう。また、私の答えはすでに決まっているので、見る必もない。
「俺とおは幼馴染みだ。できればことをきくしたくはないんだ」
元は殊勝な態度を装いながら話し始めた。
「おがこのまま会社をてってくれるって言うなら、この件はに流してもいいとってるんだ。どうだ?」
本来なら、ここは元と徹底に戦うべきところだ。しかし、彼が社になったわけだし、ここまでされてこの会社に残るはもはやない。また、私にはく先ならあるのだ。
「そうですか」
私は淡々と答えた。
「会社を辞めさせていただきますね」
元は瞬きょとんとした、ニヤリと笑った。
「あっさりとていくんだな。俺としては嬉しいからいいけど。
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俺の方がらかに優秀なのに、『おが社すればいいのに』っていう奴がいるから気にわなかったんだよ」
私は呆れて彼を見た。
「そんなことでここまでするか」
「まあ、がを嫌う理由なんてそんなものか」
元は肩をすくめた。
「何のことを言ってるんだ?これはおの着に目をつぶってやるための条件だ。会社を辞めるだけでことが済むんだから謝しろ」
「はい。そうですね。ありがとうございます」
私はくをげ、社をにした。
私は会社を辞めることにした。ただ、担当している仕事の引き継ぎがあるので、会社をるのはヶだ。済ませておきたい用事が々とあるので、ちょうどいいとう。
ただ、元たちが私が会社を辞める理由を「着がバレて、それを見逃す代わりに退職することになった」と事実をねじ曲げて社内に話を広めたことには、ちょっと腹がった。
ただ、こういう形で嫌ないをするのもこれで最だろう。私は社内でたい線をじながら、残りのヶを黙々と引き継ぎ作業をして過ごすことにした。
そして退職まであと数となったところで、私がダンボールに荷物をまとめていると、元が取り巻きを連れて私の元へやってきた。
「退職の準備はんでるか?」
元がから目線で声をかけてきた。
「はい。おかげ様で」
私は荷物を詰めながら答えた。
「それは良かった。そういえばおはあっさりと会社を辞めるって決めたけど、く当てはあるのか?」
「ええ、祖父のの仕事を伝うことにしました」
私がそう言うと、元は目を輝かせた。
「祖父のって、あのオンボロか」
「そういうことになりますかね」
私はを止めずに答えた。
「それはいいな。そういえば、あのボロは親戚に売ったんだっけか。会社を辞めるから、その親戚に泣きつくわけだな」
元は嘲笑うように言った。
「いや、それはちょっと違いますね。これからは俺が管理するというか何というか……」
「お、あのを継ぐのか!まあ、は継者だもんな。良かったじゃないか。オンボロが元に戻ってきて」
元は勝に納得して笑いした。
「いや、だからそうじゃなくて」
私が訂正しようとすると、加賀さんが横からを挟んだ。
「社、田さんの実のってそんなにオンボロなんですか?」
「俺が学のにはすでにボロボロだったから、今は廃墟みたいになってるんじゃないか。もしかしたら、俺が柱の本にドロップキックをかましたら倒壊するかもな」
元が誇張して言うと、取り巻きたちはゲラゲラと笑った。
「それってどれだけボロなんですか?逆に見てみたいですよ」
加賀さんがを乗りして言った。
「そう言われてみればそうだな。俺もおの実のオンボロが今はどうなってるのか見たいな。おい、見せろよ」
元は私を指差して命令した。
「おらも見たいよな」
元が取り巻きを煽ると、同は「見たいです!」と声を揃えた。
私は彼らを静かに見つめた。勝に盛りがるのはいいが、しは落ち着いて話を聞いてもらいたい。今のは元の言う通りオンボロだ。ただ修繕は繰り返しているのであまり見た目も変わっておらず、彼らが像するほどボロボロではない。そのため見てもして面みはないだろう。
しかし、彼らを「次の会社」に連れてくのは、私にとってはきな面みがある。私は彼らを会社に連れてくことに決めた。
「わかりました。案内しますよ」
私は荷物を置き、彼らに向かって微笑んだ。