"実家のオンボロ工場を笑った次期社長を54階へ案内した" 第3話
祖父母のオンボロと幼馴染
私はデスクの引きしをけ、に入っている古いボールペンを見つめた。それは昔、祖父からもらったものだ。
私が歳の、両親は婚した。私は父に引き取られ、祖父母ので暮らすことになった。祖父母はさなを経営していて、これが元の言う「オンボロ」だった。
私は目を閉じ、幼い頃の記憶を呼び起こした。祖父母のではプレハブを作っていた。ただ、プレハブと言っても作っているのは側の板部分だけだ。フレームや井を作ったり、気やガスの設備を入れたり、組みてなどはしない。ただ板を作るだけだ。にもアクリルやウレタンなどを使った製品も作ってはいたが、主な仕事はプレハブの壁作りだった。
その仕事はメーカーからの受注を受けてやっていて、にきな仕事は特になかった。そのため、祖父母のはプレハブの仕事だけに頼っている状態で、経営は常にギリギリだった。もしメーカーから「発注は今回で終わり」と言われてしまえば、それだけでは倒産してしまう。
父は祖父母のを伝っていたが、そんな状況にい危を持っていた。祖父も父と同じように危は持っていたが、の考える対応方法は全く異なっていて、よくで激しい衝突をしていた。
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「親父の言うように、しい仕事に挑戦するにはおもかかるし、失敗すればの寿命をきく縮めるリスクがあることも分かってる」
私が歳ののことだ。父は険しい顔で祖父に向かって訴えかけていた。私は部の隅で、のやり取りをそうに見つめていた。
「が潰れたら従業員が困るっていうのも、以も取引を続けてきたから簡単に契約を切られることもないっていう親父の考えも分かる」
父は振りを交えながら言葉を続けた。
「でもそれだと、件費も材料費も々がってきてるんだから、いつかはが成りたなくなるだろう。今はリスク承で投資すべきなんじゃないのか!」
祖父は腕を組み、頑固な表で首を振っていた。当の私はまだ歳で、詳しい経営の内容までは理解できなかった。ただ、どっちもを維持しようとしていることだけはなんとなくわかった。
とも自分の見を曲げて引きがるタイプではなかったことから、では毎のように鳴り声がび交った。私はを塞ぎ、く喧嘩が終わることを祈っていた。
そして、途からどういう話しいになったのかはらないが、結局父はをていき、私は祖父の養子縁組となった。
このことは、すぐに学にもれ渡った。
であれば気を使って親の話を避けたりするのだろうが、子供はその辺が残酷だ。
「こいつのお父さん、いなくなったんだって!」
クラスメイトのが私を指差して声で笑った。私は俯き、唇を噛んだ。
「お母さんもいないのに、かわいそうー」
私は両親がいないことを、学で常にいじられるようになった。そのとなって私をからかっていた物こそが、元だ。彼は面がって、話に尾ひれをつけるのが好きだった。
「こいつの、やってるんだけど、それが超オンボロでさ!」
元は机のにちがり、クラスに響き渡る声で叫んだ。
「借だらけで、借取りが毎に来るんだって!」
私は顔をげ、元を睨みつけた。
「嘘だ!」
しかし、私の声はクラスの笑い声にかき消された。元のも会社をやっていた。私が今働いている会社で、当はまだ彼の祖父が社をしていた。祖父のと彼の祖父の会社は同じ元企業であり、作っているものも似ていたため繋がりがあったようだ。そのため彼は、うちののことを族から話を聞いてある程度っていた。
うちのがオンボロなのも、借があることも本当だ。ただ、はできてから何も経っているので、ボロボロになるのは仕方ないことだ。また、会社を経営していればからの借入れがあってもおかしなことはない。
借取りがに来ているというのは、完全に元が盛った話だ。この頃から、彼には話を盛ってを貶める癖があったのだ。
学が経営のことや借の実態を理解しているはずもなく、クラスメイトたちは彼の言葉を疑いなく信じた。うちは実際に貧乏ではあったが、クラスメイトたちは実際よりもずっと、私のをどん底の貧乏だとい込んでいた。
私は机に突っ伏し、じっと耐えるしかなかった。この貧乏いじりは学まで続いたが、になってクラスメイトたちとれたことで、ようやくその終わりを迎えることになった。