"高卒エースを掃除係に落とした無能社長" 第12話
剥きしの嫉妬
「……どうしてですか」
俺は震える拳を握りしめ、目のの男を真っ直ぐに射抜いた。
「どうして、そこまで執拗に私個を破滅させようとするのですか? 私はこれまで、会社のために命を削って働いてきました。売だって、毎トップを維持してきた。……社が私を『落ちこぼれ』と評価されるのなら、それは社の自由です。だが、なぜ社への再就職まで妨害し、私のそのものを叩き潰そうとするのですか!」
俺の魂からの叫びに、倉島は退職届が受理されたの余裕からか、隠していた仮面を完全に脱ぎ捨てた。
その顔は、憎悪と劣等で醜く歪み、血管が浮きていた。
「理由だと? ……まだ分からないのか!」
倉島はちがり、机のにを乗りした。
「おがいる限り……矢吹会は、度として俺を認めようとしなかったからだよ!」
倉島のから、ついに本音が炸裂した。
「会は事あるごとに俺を呼びしては言っていたよ。『篠田君のような現をする男を切にできないに、社の器はない』『おは先の数字しか見ていない』とな! 社である俺が、なぜあんなボケかけのジジイに、介の卒の平社員と比べられて説教されなきゃならないんだ!」
倉島は狂ったように机をのひらで何度も叩いた。
「俺だって卒からいがってきたんだ! 現でいずり回り、銭を切って夜学に通い、眠を削って必に勉して、ようやくこの学歴と社の子をに入れたんだよ! ……それなのにおはなんだ! 卒のくせに夜にもかず、平然とした顔で現で結果をし、会に息子のようにがられやがって……!」
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嫉妬。
ただそれだけだった。
自分と同じ卒の自でありながら、コンプレックスに囚われることなく、顧客と現をして自然体で結果をし、先代会の絶な信頼を勝ち取っていた俺の。
それが、学歴コンプレックスの塊である倉島にとっては、自らの全を否定されるような、耐え難い屈辱だったのだ。
「ようやく……すべてが繋がりましたよ」
俺のから、え切った声が漏れた。
「そんなくだらない個な嫉妬のために……百億円のプロジェクトを潰し、会社の利益を犠牲にしたのですか」
「黙れッ!!」
倉島はを塞ぐように喚いた。
「おが消えれば、すべては丸く収まるんだ! ライジングトイにも拾われず、業界から完全に干されてに迷うがいい! おは敗者なんだよ! 俺が勝者だ! とっととこの会社から失せろ!」
これ以、言葉を交わすはどこにもなかった。
組織の頂点につが、社員への私怨のために会社の未来を売りばし、それを恥じることすらできない。
れだった。
この男の魂は、どれほど貧しく、どれほどいに囚われているのだろうか。
「……さようなら、倉島社」
俺は静かに礼すると、背を向けて社をにした。
背で響く倉島の荒い呼吸音をにしながら、俺は度と振り返らなかった。
自席に戻ると、机のに置かれていた私用のスマートフォンが激しく振していた。
発信者を見て、俺の臓が痛烈に締め付けられた。
『ライジングトイ・営業部』。
倉島からの圧力の話を受けた直のはずだ。
「採用は見送りにさせてほしい」――その宣告を受ける覚悟を決め、俺は通話ボタンを押した。
「……もしもし、篠田です。営業部、先ほど弊社の社から――」
『ああ、篠田さん! 聞きましたよ、さっきアイリストイの倉島社から直々に話が入った件ですね!』
受話から響いてきたのは、俺の予とは正反対の、カラリとした笑い声だった。
「え……?」
『いやあ、驚きましたよ。わざわざ社の社が、営業部員の引き抜きを止めろと取引止を盾に脅迫してくるなんてね。代未聞の滑稽劇ですよ』
「あの……御社との取引をすべて断絶すると言われたはずですが……私のせいで御社にな損害が――」
『篠田さん』
営業部の声が、真剣な、そして揺るぎないを帯びたトーンへと変わった。
『うちの社がね、話を切ったにこう言ったんですよ。「取引先を社失うリスクを冒してでも、篠田君という男を獲得する価値がうちにはある。それほどの逸材だからこそ、向こうの社は血になって妨害してくるのだ」とね』
涙が、わず目元に滲んだ。
『私たちは、あなたの実力と、現で培ってきた誠実さを信じています。……篠田さん、改めてうちに来てください。私たちと緒に、しいおもちゃの未来を創りましょう』
「ぶ、部……! ありがとうございます……! んで、お受けいたします……!」
話を切り、俺はで顔を覆った。
信じてくれるがいた。
理尽な悪に塗り潰されそうになっていた俺のを、真っ直ぐに認め、受け止めてくれる所が、確かにしていたのだ。
だが――その直、オフィスの空気が再び異常なざわめきに包まれた。
フロアの奥から、営業第課の部が、今度は腰を抜かさんばかりの青ざめた表でってきたのだ。
「篠田! 篠田ぁッ!!」
「部? 体どうしたんですか?」
「変なことになった……! や、矢吹会が……あの矢吹会が、役員会を緊急招集して……社に乗り込まれたんだ!」