"高卒エースを掃除係に落とした無能社長" 第6話
執拗な嫌がらせ
そのから、倉島による湿極まりない嫌がらせは、を追うごとにエスカレートしていった。
毎朝半に社し、社の窓ガラスを磨き、に掃除をかけ、机ののつ残さず拭きげる。
に社してきた倉島は、わざわざい袋をはめて棚のを撫で回し、「ここに見落としがある」「やり直せ」と難癖をつけては、俺に雑巾を投げつけた。
嫌がらせは社のだけに留まらなかった。
「おい篠田、全フロアの複のトナー交換と用の補充、今に全部終わらせておけ」
「倉庫の過分の伝票のダンボール、棚卸ししてリスト化しろ」
「役員会で配る級菓子の買いしにってこい。指定のは座だ。代? 営業経費で落ちるわけないだろう、自腹に決まっている」
本来、営業職としての業務とは何の関係もない雑用が、次から次へと俺のデスクに積みにされていった。
らかに、俺から営業の仕事を奪い、顧客と連絡を取るを物理に削り取るための策略だった。
フロアを駆け回り、いダンボールを運び、コピーのトナーで作業着を黒く汚す俺の姿を、倉島は役員フロアのガラス越しに満げに見ろしていた。
それでも――俺は腐らなかった。
「雑用だからとを抜けば、それこそあいつのう壺だ」
広告
社のモップがけも、ダンボールの理も、複のメンテナンスも、俺は誰よりも迅速に、誰よりも丁寧にい続けた。
類の理をしながら、過の取引の傾向を分析し直し、複の点検をしながら部署の社員たちと挨拶を交わし、信頼を繋ぎ止めた。どんなをまされようと、自分の誇りだけは絶対に汚させない。そのだけが、俺を支えていた。
だが、倉島の嫌がらせは、やがて社内だけでなく、俺が命を削って築きげてきた『顧客との絆』にまで直接刃を向け始めた。
それは、のがり続く、ある曜のことだった。
俺は午から、アイリストイの製品を扱ってくれている堅百貨の仕入れ統括部との、な定期商談を控えていた。
末商戦に向けた催事スペースの確保と、数千万円規模の発注数を確定させるための極めてクリティカルなアポイントメントだった。
夜から入に準備した提案を鞄に詰め、午の雑用を猛スピードで片付け、デスクで最終確認をっていた午分。
営業第課の部が、血相を変えて俺のデスクへと駆け寄ってきた。
「篠田! お、何をしてるんだ! どうしてまだここにいる!?」
部の尋常ではない剣幕に、俺は元の計を見げた。
「え……? 百貨様とのアポは午からです。
今から資料の最終チェックをして、半ので向かおうと――」
「何を言ってるんだ!」
部が鳴のような声をげた。
「今のアポは、午に変更になったと社から連絡が入っていたぞ! 先方から『篠田さんが見えませんがどうされたのですか』と、りの話が先ほど会社に入ったんだ!」
「なっ……!?」
全の血の気が、気に元へサーッと引いていった。
変更?
俺はそんな連絡など、誰からも切受けていなかった。
「す、すぐに確認します!」
震えるでスマートフォンを操作し、百貨の担当部へ直接話をかけた。
数回のコールの、受話から聞こえてきたのは、りで氷のようにえ切った先方の声だった。
『……篠田さん。うちの現をどれだけ待たせるおつもりですか。昨の夕方、貴社の倉島社から直々に「篠田のスケジュール調の都で、の面談はに変更してほしい」と連絡があったんですよ。それなのに、当の本が分も無断遅刻とは……アイリストイさんは、うちとの取引をその程度にお考えなのですか?』
「も、申し訳ございません……! すべて私の際にございます! 決してそのような図は……!」
受話器を握りしめ、俺は直のまま、フロアに響き渡る声でをげ続けた。
幸いにも、の個な信頼関係があったおかげで、先方は「……篠田さんのこれまでの誠実さに免じて、今の夕方にもう度だけを作ります。
ですが、次は絶対にありませんよ」と、辛うじて再訪の猶予を与えてくれた。
汗でシャツがぐっしょりと背に張り付いていた。
通話を終え、肩で息をしながら顔をげたその――。
フロアの奥、ガラス張りの社の窓際で、腕を組み、元に嘲笑を浮かべながらこちらを見つめる倉島と目がった。
わざとだ。
倉島は先方からの変更の連絡を俺に図に伝え握りつぶし、俺を取引先ので恥をかかせ、信用を失墜させようと罠を仕掛けたのだ。
これは、もはや単なるパワハラではない。
会社の板と利益を危険に晒してまで社員を陥れようとする、な背信為であり、営業妨害そのものだった。