"従妹に貸した部屋が、半年で40回又貸しされていた" 第8話
回の貸ししと受け取った対価
3の夕方。
私は約束した駅の喫茶へ、10分ほどく到着した。
窓際のるい席ではなく、の奥にあるさな席を選んで座った。
話がくなっても、周囲の客の声に紛れる所の方がいいとったからだ。
私は鞄からノートをき、確認したい項目をから順番にき並べた。
・利用したの数
・利用した付
・さやが緒にいたかどうか
・鍵を渡した方法
・おのやり取りがあったかどうか
3の話で聞いたことを、に責めてるつもりはなかった。
今必なのは、曖昧だった部分をはっきりとした「数字」に変えることだった。
約束のをし過ぎて、さやがへ入ってきた。
肩からきめのトートバッグをげている。
私のの席に座ると、注文もそこそこに、鞄からいクリアファイルを取りした。
「これ、持ってきた」
私はすぐには受け取らなかった。
「何が入ってるの?」
「使ったの記録」
さやは私と目をわせずに答えた。
「皆ちゃんが、理してって言ったから」
私はそので、ファイルを緒に見ることにした。
ファイルのには、何枚か印刷された表が入っていた。
番の列に付。
その隣に、名らしい文字。
その次に、入と退の刻。
さらに、「清掃」というチェック欄と、額をく欄があった。
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私は最初の1枚を見たまま、しばらく声がなかった。
それは、偶然に友を泊めたが作るような表には見えなかった。
然と管理された、事業の記録のようだった。
さやは私の反応を待つように、俯いて黙っていた。
「これ、いつから作ってたの?」
私は顔をげて聞いた。
「最初の方から」
「何のために?」
「……ちゃんと管理するため」
さやの返事はいものだった。
「誰がいつ来たか、わからなくなったら困るでしょ」
私は表の端の列を指差した。
「この額は?」
さやは線をげた。
「もらったお。宿泊費」
「……」
「そういうもある。そうじゃないもあるの。お礼みたいなじで、しだけもらったもある」
私は、それ以言葉の定義を争うことはしなかった。
「宿泊費」と呼ぼうと「お礼」と呼ぼうと、部を使わせる代わりにおを受け取っていた事実は変わらない。
私は1枚ずつ、付を追っていった。
最初の頃は、1週ほど連続で滞した記録があった。
名の欄には1の名だけがかれている。
その次は3。さらにその次は2。
ろのページへむほど、利用期は細かくくなっていた。
「1泊」とかれたものも増えている。
同じ名が2度てくるところもあった。
私のらない苗字が、次々と並んでいる。
「このたち、全部さやの友達なの?」
私は聞いた。
さやはゆっくりと首を振った。
「最初は、友達。そのあとは、友達のりい」
「……」
「さらに、そのりいもいる」
私は表を閉じそうになったが、いとどまった。
途で見るのをやめても、事実は消えない。
「じゃあ、会ったことがないも泊めたの?」
「会うに、LINEとかで連絡は取ったよ!」
「それは、会ったことがあるとは言わないよ」
私がそう言うと、さやはギュッと唇を結んだ。
私はペンを持ち、利用回数を数え始めた。
同じが続けて使ったは、1つの利用としてまとめた。
途でわからなくなり、最初から数え直した。
さやは黙って待っていた。
最まで数えると、40回くの記録があった。
私は数字をにき、さやに見せた。
「これくらいになるけど、ってる?」
さやはさく頷いた。
「分、そのくらい」
私はその返事を聞いて、ペンを置いた。
半で、40回く。
それが、初めて形になった具体な利用回数だった。
毎誰かが泊まっていたわけではない。
空いているもある。
1週使われたこともあれば、1泊だけのこともあった。
だから、気ややガスの数字がごとにばらついていたのだと点がいった。
私が見ていた使用量は、さや1の活の記録ではなかったのだ。
私は、もう1つの欄を見た。
『清掃』。
ほとんど全ての利用のに、チェックの印がついている。
「これも、さやが自分でやってたの?」
「うん」
さやはしだけ顔をげた。
「だから、部は綺麗だったでしょ?」
その言葉で、私は部を返却されたの景をいした。
にしい傷がなかったこと。
台所に油汚れがなかったこと。
浴に垢がほとんど残っていなかったこと。
あの、私は「綺麗だから問題がない」とおうとしていた。
けれど今は、その綺麗さのが変わっていた。
誰もんでいなかったから綺麗だったのではない。
が入れ替わるたびに、彼女が元に戻して証拠を消していたのだ。
「皆ちゃんに、迷惑かけないようにしてた」
さやが言った。
私はすぐには返さなかった。
「壊したもいないし、苦も来てないでしょ」
さやは自己弁護を続けた。
「だから、ちゃんと管理してたんだよ」
私は表ののを、指でく押さえた。
「管理できていたかどうかを決めるに、確認したいことがある」
私は言った。
「この額、全部受け取ったの?」
さやはし迷ってから、頷いた。
「現のもあったし、振り込みのもあった」
「この部を使わせる代わりに?」
「……うん」
その言で、私のに残っていた最の曖昧さが1つ消えった。
私は、このファイルの写しをもらいたいと伝えた。
さやはすぐに顔をげた。
「警察にすの!?」
「必があるかは、私が勝に決めない」
私は答えた。
「でも、管理会社と、必なら政の相談窓には確認する」
「なんでそこまで……」
「私の部だから」
私はく、しかしはっきりと答えた。
「誰に何回使わせて、おを受け取っていたのかをった以、らなかったことにはできない」
さやは黙り込んだ。
私はファイルそのものを持ち帰るのではなく、そので必なページをスマートフォンで撮していいか聞いた。
さやは嫌そうな顔をしたが、最には諦めたように頷いた。
私は全部を撮るのではなく、付と利用回数と額の欄がわかるページを順番に残した。
撮した枚数を、そのでさやにも確認してもらった。
で「見ていない資料を見たことにされた」と言われたくなかったからだ。
をる、私は最に1つだけ聞いた。
「靴箱にあった5分の郵便物も、この表のたち?」
さやはすぐには答えなかった。
それから、ファイルの番ろのページへを伸ばした。
「全部じゃない」
さな声だった。
「泊まってないも、いる」
私はその言葉を聞き、を止めた。
40回い利用と、繰り返された入。
それだけでも、「友達をし泊めただけ」という説は完全に崩れていた。
それでも、郵便物の5はまだ全部説できていなかった。
私は撮した記録を保し、次に確認すべきことを1つだけノートへいた。
『泊まっていないのに、この所を使ったがいる』