"月二十五万を貪る偽装役員一家の転落" 第7話
条理な求
「あら、話がくて助かりますわ」
かず子は勝ち誇ったように顎を突きし、胸元のブローチにを添えた。
「当然、べたに正座して、を擦り付けて座謝罪なさるのは当たりの提ですけれど……それだけでは到底許せませんわね。あなた方の無礼のせいで、もしこの結婚が破談になったら、どう責任を取ってくださるの?」
「破談……?」
私が呆然と呟くと、隣の悠が嘲笑を浮かべながらを挟んできた。
「そうですよ。ミクさんのご両親としての誠が見られなければ、がとしては、ミクさんとの婚姻を撤回させていただくしかない。そうなってもいいんですね?」
かず子もこれ見よがしに頷く。
「そうですわよ。あなた方だって、塩にかけて育てた事な娘に、結婚ヶで『バツイチ』の汚名を着せられては困るでしょう? 世体が悪くて、所も歩けなくなりますわよ。すべては、あなた方の誠ある態度次第ですのよ」
質だ。
自分たちの落ち度をすべてこちらのせいにすり替え、あろうことか娘の婚姻関係を盾にして脅迫しているのだ。
文夫は、を完全に押し殺した声で言った。
「……あなた方の言う『誠』とは、具体に何ですか」
「言ってもお分かりにならないかしら? これだから庶民は困るのよ」
かず子はで笑うと、悠が横から促した。
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「まあまあ母さん。彼らには彼らなりの、分かりやすい誠の示し方があるでしょう」
その言葉を図にしたように、かず子は抱えていた級ブランドのバッグにを突っ込み、通の分い角形号の茶封筒を取りした。
そして、それをバサリと、これ見よがしにテーブルの真んに叩きつけたのだ。
「これが、々に対する謝罪の形であり、あなたたちの誠よ」
封筒の表には、乱雑な文字で『業資内訳細』とかれていた。
「悠がしくちげる会社の業資、千万円の内訳よ。誠があるとおっしゃるなら、これくらいは当然、全額括でお支払いいただけますわよね?」
文夫が無言で封筒にを伸ばし、から数枚のプリント用を引きした。私も横からその面を覗き込んだ。
そこに並んでいた活字を目にした瞬、私の界がりで激しく滅した。
・代表取締役用級購入費:千百万円
・役員専用察費(ドバイ・ファーストクラス往復・超級ホテル宿泊費):百万円
・会社設記パーティー費用(都内流ホテル宴会):百万円
・事業成功祈願神社への奉納:百万円
・社専用最級観葉植物および調度品式:万円
「な……何ですか、これは……!?」
私の喉から、鳴にい掠れ声が漏れた。
事業計画などでは断じてなかった。
事業内容も、収益モデルも、調査の記述もたりともしない。
ただ、この男たちが自分たちの見栄と物欲を満たすためだけにき殴った、鱈目極まりない欲の請求だった。
これだけの莫なを、娘を質に取れば、の悪い老夫婦がホイホイと差しすと本気でっているのだ。
私たちを、考えるすらない、ただの便利なづるとしか見ていない。その傲で浅ましい悪が、鋭い針となって私の全を突き刺した。
「見ての通り、俺の会社の業資ですよ」
悠がを鳴らし、子の背もたれにふんぞり返りながら言った。
「これくらい、い娘の旦のためなら、括でポンと支払うことができますよねえ? お父さん、お母さん」
ニヤニヤとした卑屈な笑みが、悠の唇に張り付いていた。
私の胸の奥で、何かが激しく沸騰した。、慎ましくきてきた私の誇りが、この汚らわしいハイエナたちによって無残に踏みにじられていた。
「ふざけないでください……!」
私はテーブルにをつき、ちがった。
「こんなもの、事業資でも何でもありません! ただのあなた方の贅沢の請求じゃないですか! 私たちが支払う義理など、円たりともありません! どうぞ、今すぐお引き取りください!」
私の拒絶の言葉が終わるか終わらないかの瞬だった。
パシィィィンッ!!
乾いた鋭い破裂音が、リビングに響き渡った。
かず子がに持っていた扇子で、私のの甲を容赦なく打ち据えたのだ。
ジリジリとした痛みがり、赤く腫れがったの甲を、私は呆然と見つめた。
「お黙りなさいッ!」
かず子は鬼のような形相でちがり、私を指差して鳴り散らした。
「これはね、傷つけられた悠への慰謝料であり、何より、の悪いあなた方の娘を、がの嫁として婚姻継続させてあげるための『数料』ですわ! の程をりなさい、この貧乏が!」