"月二十五万を貪る偽装役員一家の転落" 第6話
傲な来訪者
級の部座席のドアがき、の女性がりってきた。
全をこれ見よがしなハイブランドのと宝で飾りて、派なつばの広い子をかぶった初老の女性――悠の母親、かず子だった。
そのろから、悠もまた、ふてぶてしい取りでからりてくる。約束など切ない、突然の襲来だった。
ピンポーン、ピンポーンと、髪を入れずに執拗にインターホンが鳴らされる。
「あなた……! 悠さんのお母さんが……」
休暇を取ってにいた文夫に声をかけると、夫は静かにちがり、の消えた目で頷いた。
「……入ってもらおう」
私が玄関のドアをけると、そこには仁王ちになったかず子がいた。
彼女はがの玄関ホールに歩を踏み入れるなり、持っていたシルクのハンカチで袈裟にとを覆った。
「あら、ごめん遊ばせ。……なんだかカビ臭くてたまらないわね。ちゃんと毎換気なさっているのかしら?」
挨拶もそこそこに、かず子は底の悪い目で、靴箱や壁の黄ばみを舐め回すように見回した。
「お、おがりください……」
私が辛うじて声を絞りすと、かず子は靴を脱ぎ散らかしたまま、が物顔でリビングへとがり込んできた。悠もそれに続き、がの物のスリッパを踏みつけるようにして入ってくる。
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「どうぞ、お掛けください。お茶を淹れますので」
私は台所で急須に湯を注ぎ、湯みをつ盆に乗せてリビングのテーブルへと運んだ。
だが、テーブルの端に置かれたお茶を瞥したかず子は、指先つ触れようとしなかった。
「結構ですわ」
かず子はややかに言い放ち、バッグから取りした扇子をパッと広げて顔元を仰いだ。
「どこの馬の骨ともれないような、物のお茶葉でしょう? そんな農薬まみれのものをにしたら、私の舌が汚れてしまいますもの」
骨な侮辱だった。私の元がりで微かに震えた。
ソファーの正面に座った文夫が、く落ち着いた声でをいた。
「……それで、本は何の御用でしょうか」
文夫の問いに、かず子はわざとらしくく溜息をつき、扇子をパチンと閉じてテーブルのに放りした。
「何の用、ですって? よくそんなとぼけたが利けますわね! まず先の、がに対する非礼について、正式に謝罪していただきたくて参りましたのよ!」
「謝罪……?」
私は文夫と顔を見わせた。
「謝罪とは、どういうでしょうか」
文夫が眉つかさずに問い返すと、かず子は激昂したようにテーブルをバンッ!とのひらで叩いた。
「どういうですって!? オタクのご主が、がの跡取りである悠を、玄関先で鳴りつけて追い返したそうじゃないの! 親の顔が見たいとはまさにこのことですわ!」
「全くだ」
悠がふんぞり返り、を組みながら唾をばして言葉を継いだ。
「いきなり『帰れ』だなんて言われて、こっちはどれだけ愉ないをしたか! 営業妨害もいいところですよ」
かず子はさらに興奮した様子でを乗りしてきた。
「あまりの非常識さに、悠も私もすっかり体調を崩してしまいましたのよ! これから本経済を背負ってつ、将来ある若者の輝かしい未来に傷をつけたら、あなた方、体どうやって責任を取ってくださるおつもり!?」
を疑うとはこのことだった。
自分たちが駅で私たちの悪を喚き散らし、を騙し取ろうと企んでいたことを棚にげ、被害者面をして鳴り込んできたのだ。
あまりの理尽さに、私はりで眩暈がしそうになった。
「体何を仰っているのですか……? そちらの息子さんが、うちの娘と駅で何を話していたか――」
「かよ子」
私が言い募ろうとするのを、文夫が静かにで制した。
夫の表は驚くほど平坦だった。だが、その瞳の奥には、氷のに眠るマグマのようなたいが宿っていた。
「……分かりました。では、々がどうすれば、お許しいただけるのでしょうか」
文夫がそう尋ねた瞬、かず子の醜い顔に、待ってましたと言わんばかりの醜悪な笑みが浮かびがった。