"月二十五万を貪る偽装役員一家の転落" 第4話
暴かれた本性
静まり返ったリビングに、甲い子音がけたたましく鳴り響いた。
ビクッと私の肩がねる。
音の主は、テーブルのに置かれた私のスマートフォンだった。液晶画面が青く発し、着信を告げている。
画面に表示された名は――『ミク』。
臓がドクンと嫌なね方をした。
「ミクからだわ……」
私はすがるようないで画面を見つめた。
そうだ、きっと何かの違いだったのだ。駅での会話は、何かの聞き違いか、あるいは悠さんに話をわせただけで、本当は違う。娘が今、焦って弁解の話をかけてきたに違いない。
「お父さんの勘違いだって、説してくれるはずよ……」
震える指先を画面に滑らせ、通話ボタンを押した。
「もしもし、ミク――」
『あんたたち、体どういうつもりよッ!?』
鼓膜を直接突き破るような、凄まじい切り声が受話から炸裂した。
私はわず息を呑み、スマートフォンをからしした。
そこには、配や揺、あるいは親を気遣うなど微もなかった。あるのは、剥きしの敵と、煮えたぎるような傲なりだけだった。
『いきなりドアを閉めて締めすなんて、正気なの!? 悠さんの顔にを塗って、あんたたち何様のつもりなわけ!?』
「ミ、ミク……? あなた、そのの利き方は何……? 違うの、お父さんの話を――」
『話なんて聞く価値もないでしょッ!』
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娘の酷な声が、私の言葉を容赦なく遮った。
『お父さんなんて、ただのしがないサラリーマンのくせに!』
――しがないサラリーマンのくせに。
その言が、私の胸に鋭利な刃物のようにく突き刺さった。
、毎朝満員に揺られ、理尽な司の叱責にも耐え、をげ続けて族を養ってきた夫。その夫の汗と涙の結晶を、娘自のから「しがないサラリーマン」と吐き捨てられたのだ。
私の隣で、スピーカーから漏れる娘の声を聞いていた文夫の体が、ビクリと直した。
受話の向こうで、ミクは嘲るような笑いを漏らしながら、さらに言葉を畳み掛けてくる。
『将来望な起業である悠さんを無にするなんて、世らずもいい加減にしてよね! これから会社の社になるなのよ!? あんたたちみたいな底辺の庶民が、偉そうに説教できる相じゃないの!』
「ミク……何を言っているの……? 私たちは、あなたの幸せをって――」
『はあ? 幸せ? 笑わせないでよ! ていうかさ、あんたたち、まだあんな築何の古臭いボロにんでるわけ? ほんとみっともない! 悠さんのお母さんみたいにさ、くタワマンにでも引っ越したらどうなの? ……ま、しがないサラリーマンの稼ぎじゃ、逆ちしたって無理だろうけどね!』
ケラケラと、蔑みきった笑い声が元で響く。
その声は、かつて「お父さん、お母さん、いつもありがとう」と無邪気に笑っていた私の娘の声とは、あまりにもかけれていた。
目のにいるのは、実の親をづるとしてしか見ず、見し、嘲笑うだけの、醜悪な化け物だった。
夫が駅で聞いた会話は、聞き違いでも冗談でもなかった。
これが、私たちが以のと、全財産を注ぎ込んで育てげた「娘」の、正真正銘の正体だったのだ。
『とにかくね!』
ミクは苛たしげに舌打ちの音を響かせた。
『悠さんと、悠さんのお母さんに座して謝って! 話はそれからよ! お母さんもさ、使えないお父さんをちゃんとしつけといてよね! じゃあね!』
ガチャリ。
ツーツーツー……。
方に通話が切断され、無質な子音だけがの奥に残り続けた。