"元義母の誤爆着信と暴かれた花婿の嘘" 第13話
破格のオファー
それから週。
患部の骨癒は順調にみ、松葉杖を使えば自力で歩できるまでに回復した俺は、無事に病院を退院した。
れの澄み切った青空の、俺が最初に向かったのは、瑞穂製作所ではなく――都の等にそびえつ、太陽業の巨な本社ビルだった。
相沢本部の「お迎えに伺う」という申しは丁にお断りし、自分ので向かうことを選んだ。自らの誇りを取り戻すための第歩を、のに乗って踏みしたくはなかったからだ。
総受付で名を告げると、案内されたのは層階にある最級の特別応接だった。
松葉杖をついて歩く俺の姿を見るなり、迎えてくれた相沢本部は慌てて駆け寄り、ドアを押さえ、俺が座りやすいようにな革張りソファーを丁寧に引いてくれた。
の会社では考えられない、のプロフェッショナルに対する最限の敬が、その所作のつひとつに満ちていた。
「さん、お元の具はいかがですか? 無理をさせてしまい申し訳ありません」
「いえ、もう痛みも引いて歩けます。お気遣いありがとうございます」
俺が腰をろすと、もなく応接の扉がき、仕ての良いグレーのスーツを着た髪交じりの紳士が入ってきた。
太陽業の専務取締役だった。
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「さん、初めまして。太陽業の専務を務めております、神田です」
神田専務は俺の正面に座ると、々とをげ、テーブルのに束の分い資料を広げた。
「速ですが、さんの特許技術をもとに、弊社の産技術研究所で綿密なシミュレーションをわせていただきました」
資料には、複雑なグラフと驚くべき試算データが並んでいた。
「弊社の主にさんのアルゴリズムを導入した、で削減される原材料ロスおよび良品廃棄コストは……約億円と試算されました。さらに、品質定による歩留まり向で、国内の取引先からの規受注は数億円規模で増加する見込みです」
神田専務はを乗りし、真っ直ぐに俺の瞳を見つめた。
「さん。率直に申しげます。弊社に来て、々と共に世界のモノづくりを目指していただけませんか」
提示された雇用契約の条件を見て、俺はわず息を呑んだ。
・役職:技術発部・専任プロジェクトリーダー
・収:現の与の『・倍』を基本として保障
・権限:設する品質革プロジェクトチーム(専任部名)の指揮・統括権
・特許使用に関するロイヤリティ:製品売に応じた特許使用料を別途支(初度見込みで『数百万円』、次度以は業績連で増額)
「……収・倍、それにリーダー職……ですか」
俺の声が微かに震えた。
瑞穂製作所では「卒の雑用係」として取り万円そこそこでこき使われ、ボーナスも学歴差別で削られていた俺に、収数百万円の幅アップと、もの部を率いるリーダーのポストが用されている。
さらに、特許の個ロイヤリティだけで、初度から百万円単位の臨収入が入ってくるのだ。
銭の額もさることながら、何よりも俺の魂を揺さぶったのは、彼らが提示してくれた「技術者としての絶対の評価」だった。
神田専務は、温かく、しかし力い声で言った。
「々は、さんの特許という『の権利』だけが欲しいのではありません。現で械と対話し、誰よりも臭く品質を追求してきた、誠という技術者そのを、から尊敬し、お迎えしたいのです。どうか、々に力を貸してください」
胸の奥がく焼けるようだった。
認められたい。正当に評価されたい。
たいで、震えるで械を磨き続けていたあの々の孤独が、瞬で温かなに包まれて昇華していくようだった。
「……ありがとうございます」
俺はくをげた。
「んで、お受けいたします」
こうして、俺のしいの契約は、固い握と共に結ばれたのだった。