"元義母の誤爆着信と暴かれた花婿の嘘" 第11話
暴かれた無能
隣の第応接。
い防音扉が閉ざされると、松本専務はソファーに座ることすら拒否し、ったまま川部を見ろした。
その差しは、これまで社内の誰も見たことがないほど酷だった。
「川部。製造ラインのトラブルに対し、君の部は誰としてまともに対応できていない。……これはな設備の故障などではない。君が統括してきた製造部の、管理体制そのものの根本な崩壊だ」
「そ、それは……現の員の配置にな偏りがありまして……」
「員の問題ではないッ!」
松本専務のが、密閉された応接に響き渡った。
「君は部として、現で何が起きていたのかを把握していたのかね? 製造ラインがどうやっていていたのか、誰がどの程の肝を握っていたのか、本当に理解していたのかと聞いているんだ!」
川は言葉に詰まり、喉をヒクヒクと痙攣させた。
図だった。
名卒のエリートを自認する川は、油と埃にまみれた製造現にを運ぶことなど滅になかった。部からがってくる表面な報告にハンコを押すだけで、現の臭い運用など何つらなかったのだ。
追い詰められた川は、焦りのあまり、最悪の責任転嫁をった。
「……せ、専務! 実は、すべての仕業なんです!」
「なに?」
「あいつです! 卒の誠です! あいつは頃から私の指導に満を抱いており、入院する直、会社に逆みをして械のプログラムにトラップを仕込んだに違いありません! 先週の夜、あいつがで勝にサーバールームに忍び込んで、データを改ざんしていたという目撃報もあります!」
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松本専務は眉つかさず、たく問い返した。
「確たる証拠はあるのかね?」
「そ、それは……今、調査ですが……! しかし、あいつがいなくなってから急にラインが止まったのは紛れもない事実です! あいつが犯なのはです!」
「見苦しいぞ、川」
松本専務は吐き捨てるように言うと、元に持っていたタブレット端末を操作し、画面を川の目のに突きつけた。
「君の部署には、設備の詳細なメンテナンス記録もなければ、作業の引き継ぎマニュアルも、異常のバックアップ体制もしない。それで、すべての責任を事故で入院の部に押し付ける気かね?」
「専務……それは……」
「私はね、昨夜から総務とシステム管理部に命じて、君の過分の社内データを徹底に洗わせたんだよ」
松本専務の徹な声が、川の逃げを完全に塞いでいった。
「タイムカードの打刻データ、の入退館ゲートのログ、社内PCのログイン履歴、各械の操作ログ……そのすべてを照した。君はね、毎朝誰よりもい午に社し、君たちが役勤してくるまでの半、たったでラインの点検、械の微調、温度センサーの正、の検査データの理を、無で毎欠かさずっていたんだよ」
「なっ……」
川の顔から、サーッと血の気が引いていった。
「君は……その事実をっていたのかね?」
「そ、そんなことは……あいつは、ただの雑用係で……掃除をしていただけで……」
「雑用係がいなくなった途端に、全ラインが止して顧客を失いかける会社が、世界のどこにあるッ!!」
松本専務の号が炸裂した。
「彼が毎朝っていた『雑用』こそが、この会社の品質を極限で支えていた唯の技術だったんだよ! 君が彼を『無能な雑用係』と決めつけ、何つ実態を把握していなかったことの、これがかぬ証だ!」
川は膝から崩れ落ちそうになり、壁にをついて辛うじて体を支えた。
その頃、製造現のフロアでも、社員たちのに激震がっていた。
「なあ……ってるか?」
具ので、オペレーターたちが呆然とち尽くしていた。
「毎朝、械の源を入れると完璧にいてたの……あれ、全部さんが始業にで調してくれてたらしいぞ」
「嘘だろ……? あの難しい油圧の同調も、炉の温度補正もか?」
「ああ。営業部のさんが専務に全部証言したらしい。『製品の構造や公差について技術な質問をした、即座に完璧な回答をくれたのはだけだった。あいつは現の誰よりも製品をし、理解していた唯の技術者だ』ってな……」
社員たちは言葉を失い、顔を見わせるばかりだった。
自分たちが今まで「卒」「無能」「雑用係」
と嘲笑し、見してきた男。
挨拶つ返さず、柄を奪い、厄介事をすべて押し付けていたあのな男こそが――実は、瑞穂製作所の製造ラインをたったで背負っていた、真の黒柱だったのだ。
「俺たち……なんてことをしてきたんだ……」
現には、取り返しのつかない罪悪と絶望が、たく垂れ込めていた。