"元義母の誤爆着信と暴かれた花婿の嘘" 第5話
曜の号
運命の歯が狂い始めたのは、初の寒が吹き荒れる、ある曜の朝だった。
いつものように午に社しようとしたが、夜からの腹痛でわずかに支度が遅れ、俺がの通用をくぐったのは午分――始業の分だった。
タイムカードを押し、作業着に着替えてフロアへを踏み入れた瞬、異様な空気が肌を刺した。
メイン製造ラインの周辺に、数の社員たちが幾にもだかりを作っていたのだ。
ただ事ではない。
「なんだこれはッ!? 顧客向けの製品が、全部良品だと!? 体どういうことだッ!!」
垣の央から、血管が切れんばかりの川部の声が轟いた。
俺がで輪をかき分けてづくと、検査部のリーダーが青ざめた顔で類を胸に抱え、震え声で報告していた。
「は、はい……! 先週末に荷した気様向けの精密モーターシャフト、ロット百個のうち、実に百個以の寸法精度に許容値を超える異常が見つかったと……今朝番で、先方の受入検査部から猛烈なクレームが入りました!」
「百個、百個以だと……!?」
周囲のエリート社員たちから、息を呑む音が漏れた。
割以の良率。精密械の部品納品において、それはもはや製品と呼べる代物ではない。完全な納品事故であり、会社のに関わるインシデントだった。
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気は、瑞穂製作所の売の割以を占める最顧客だ。もし取引止にでもなれば、数億円規模の減収は免れない。
川部は額に青筋を浮かべ、血った目で製造ラインの械群をギロギロと見回した。
そして――その線が、垣の縁にっていた俺の姿を捉えた瞬。
その瞳に、残忍で卑劣なが宿ったのを、俺は見逃さなかった。
「……」
をうようない声だった。
川部はツカツカと股で歩み寄り、俺の胸ぐらを掴まんばかりの距まで顔をづけてきた。
「お、先週の曜の夕方、製造ラインの処理炉の設定を勝にいじっただろう」
「……はい?」
唐突な言いがかりに、俺はわず眉をひそめた。
「いいえ、設定など変えていません。規定の標準作業順の通りに稼働させていました」
「嘘をつくなッ!」
川部の唾が、俺の頬にんだ。
「お以に、毎毎ラインの械を無駄にベタベタ触り回っている奴がどこにいる! おが余計なところを弄くり回したから、炉の温度が狂って量の良品がたんだろうがッ!」
周囲の線が、斉に針のように俺へと突き刺さった。
吉田まみが腕を組み、ややかな嘲笑を浮かべている。の社員たちも、「やっぱり卒のあいつのせいか」「余計なことをしやがって」と、まるで確定した犯を見るような軽蔑の目を向けていた。
「部、私は設定を勝に変更などしていません」
俺は静に、言言を区切って反論した。
「そもそも、先週の稼働ログと温度センサーの報データを確認していただければ、設定変更の履歴が残っているはずです。原因は別のところにあるはずですから、ログの示を――」
「黙れッ! 言い訳をするな!」
川部は俺の言葉を暴力に遮り、フロア全体に響き渡る声で鳴りつけた。
「おが何を言おうと、現実に百個以の良品がているという事実は変わらんのだ! おみたいな卒の無能が、ったような顔をして械を触るからこんな惨事になるんだよ! 会社にどれだけの損害をしたか分かっているのか! 全額責任を取ってもらうからなッ!」
言葉が、喉の奥で詰まった。
何を言っても無駄だった。
川部の目を見れば分かった。彼は原因を究したいのではない。
自らの管理責任から逃れるため、すべての罪を被せる「都のいい贄」として、最初から俺をスケープゴートに仕てげる腹づもりなのだ。