"元義母の誤爆着信と暴かれた花婿の嘘" 第2話
の技術者
計の針を、ほんの数に巻き戻す。
俺の名は誠。今で歳になる。
瑞穂製作所の製造部に所属する技術者だ。
技術者――対な名刺には確かにそう印刷されている。だが、社内ので俺のことをの技術者として扱ってくれる者は、指で数えるほどしかいなかった。
無で笑いがな性格。無骨でな貌。作業着の袖をまくり、常に爪のに械油を染み込ませているような俺の姿は、の効いた設計でパソコンを叩くエリート社員たちから見れば、いかにも冴えない現作業員にしか映らなかったのだろう。
そして何より、この瑞穂製作所という会社は、病なまでの「学歴至主義」が根く巣っていた。
名学や名国学の学部をた連がが物顔で幅を利かせ、世を独占している。その方で、庭の事から学学を諦め、元の業を卒業して現叩きげで入社した俺のようなは、入社初から「使えない奴」「世の見込みのない現員」という酷な烙印を押されていた。
その学歴ヒエラルキーの頂点に君臨し、俺を最も骨に見していたのが、直属の司である川部だった。
名国学の学部を優秀な成績で卒業したという肩きを鎧のようににまとい、常に仕ての良いスーツを着こなしている。
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代半になっても贅肉のつかない体と、たく尖った縁鏡。彼の瞳には、常にを偏差値と肩きで値踏みするような、底れぬ酷さが宿っていた。
「おい、今も製造ラインの清掃とオイル交換、きっちり頼むわ」
毎朝、始業のベルが鳴り響くフロアで、川部は通り魔のように俺のデスクの横を通り過ぎざま、類の束でパーテーションを突きながらそう吐き捨てるのが課だった。
「おみたいな卒にできるのは、せいぜい械の油拭きくらいだろうからな。を使う度な仕事は、ちゃんとした学をた連に任せておけばいいんだよ」
周囲のデスクに座る若社員たちが、くすくすと品な笑い声を漏らす。
俺に回されてくる業務は、毎判で押したように同じだった。
型プレスマシンの清掃、作業台の具の理頓、会議資料のコピー取り、倉庫の棚卸しと部品の庫チェック。社内の誰もが「誰にでもできる雑用」と吐き捨てる作業ばかりだった。
「さーん、この伝票の理、今にやっておいてくれません?」
背から、わざとらしい甘ったるい声がかけられた。
振り返ると、同僚の吉田まみが、類の束を俺の机の端へ放りすように置いたところだった。
歳の吉田は、いわゆる社内の形とされる品質管理部のアシスタントだった。
綺麗な化粧に流りのオフィスカジュアルを着こなし、司や力なエリート社員たちにはよく媚びを売るのが異常にうまい。
だが、役職も学歴もない俺に対しては、虫唾がるような見しのを隠そうともしなかった。
「さんってさ、本当に『技術者』っていう名目で採用されたの? いつ見ても作業着ドロドロにして掃除ばっかりしてるじゃない。うちの部署の美観を損ねるから、あんまりウロウロしないでほしいんだけどなー」
「……わかりました。伝票は処理しておきます」
俺はを押し殺し、くをげた。
周囲の社員たちが再びクスクスと肩を揺らして笑いう。
反論したところで、この分い偏見の壁が崩れることはない。言い返せば「卒の分際で気だ」と川部から余計な叱責をらうだけだ。それが、この会社における俺の絶対なち位置だった。
俺は無言で伝票を抱え、い全靴の音を響かせながら、油の匂いがち込める製造の奥へと向かった。