"妹が断った牡蠣漁師は、港の社長だった" 第7話
「港の空き倉庫に、私たちの直売所を作りましょう」
私は、皆の顔を見渡して言った。
「そして、すべての牡蠣にも、加品にも、作ったの名をつけます。誰が、どんないでこの牡蠣を作ったのか、お客さんに直接伝えるんです。く買い叩かれるのではなく、皆さんの名の価値で、お客さんに選んでもらうんです」
総郎は、最初、その案に反対した。
「みんなに、そんなしいことを始める余裕はありません」
彼は、厳しい表で言った。
しかし、私は歩も引かなかった。
「これは、余裕の話ではありません。みんなの、あなたへの『返し方』の話です」
私は、彼の目を真っ直ぐに見据えた。
「あなたがこれまで、たった1で守ってきたこの港を、今度はみんなで守るんです」
い沈黙が流れた。
総郎は、包帯を巻かれた自分の負傷したを見つめ、そして、ゆっくりと、初めてさく頷いた。
直売所の名は、シンプルに「港の名」に決まった。
私は、みんなから集めた牡蠣を見て、枚枚、を込めて商品札をいた。
「源蔵さんが、夜けの筏から引きげた牡蠣」
「田辺玲子さんたちが、たいので1つずつ殻を磨きました」
絵が得な19歳の若い従業員、ナナには、牡蠣を入れる荷箱の側面に貼る、美しいの絵を描いてもらった。
私たちは、皆で協力して古い倉庫の壁を塗り直し、域の聞にさな紹介記事をした。
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そして、私がとなって、インターネットでの注文ページも作りで作成した。
そして迎えた、直売所の初。
私たちの事の予をきく超える、勢の客が港へ押し寄せた。
午だけで、私たちが準備していた商品の半分が売れてしまうという盛況だった。
忙しくち働いていたその、駐の方から、私のに聞き覚えのある甲い声が聞こえてきた。
「何よ、この魚臭い所」
私は、声のする方へ顔を向け、全が凍りついた。
そこにっていたのは、私の母と、妹の美咲だった。
彼女たちは、元の聞に載った記事で、総郎が実は44の従業員を抱える会社の代表だとり、わざわざくから押しかけてきたのだ。
私がから聞いた話によると、美咲がチーフとして勤めていた美容サロンは、2ヶに突然閉してしまったらしい。
おまけに、結婚を約束して自していた相の男性とも、あっけなく別れてしまったという。
母は、その事実を、ただの1度も私にはらせてこなかった。
2が今、わざわざこのい港へやって来た理由は、決して私の否を配したからではない。
聞の記事には、「産会社がたに直売事業を始め、県からの注文が相次いでいる」と、景気良くかれていたからだ。
母は、忙しくち働く総郎を見つけるなり、図々しく歩み寄り、信じられないことを言いした。
「総郎さん、美咲なら、接客も宣伝も器用にこなせます。どうか、この会社で責任ある仕事をさせてやってくれませんか」
総郎が、きっぱりとその求を断ると、美咲の顔から作り笑いがすっと消えた。
美咲は、総郎をじろりと睨みつけると、私の方を向いて、甲い声で叫んだ。
「ねえ、お姉ちゃん。この縁談、本当は私のものだったよね?」
母も、周囲の目を気にする様子もなく、それに続いた。
「私たちは族なんだから、度きちんと話しいましょうよ。どう考えても、美咲の方が、こんな会社の社夫には向いているわ」
私は、そのにち尽くし、元が震えるのをじた。
昔の私なら、きっとここで何も言い返せず、黙ってを向いていただろう。
自分がを引けば、丸く収まるのだと、そう自分に言い聞かせて。
しかし、そのだった。
総郎が、静かに歩み寄り、私を庇うように私のにすっとった。
「話しうことなど、何もありません」
総郎は、く、しかし凛とした声で言い放った。
「私が、自分の妻として選んだのは、織です。彼女は、決して誰かの代わりなどではありません」
美咲は、その言葉を聞いて顔を真っ赤にしてった。
「でも、お姉ちゃんはだし、昔から何もできないじゃない!」
その言葉を聞いた瞬、私の脳裏に、あののマフラーの記憶が鮮に蘇った。
あの頃の私は、「赤が欲しい」