"妹が断った牡蠣漁師は、港の社長だった" 第6話
「あなたがもし、いなくなってしまったら、体誰がこの港を守るの?」
私は、必に彼のに訴えかけた。
「会社さえ残れば、みんなは今まで通り働けます」
彼は、頑なに自分の主張を曲げようとしなかった。
私は、彼と会って初めて、の底から夫に対して腹をてていた。
「違う!」
私は、わず声を荒げた。
「あなたは、みんなから『返す権利』まで奪っているのよ!」
総郎は、私の予のい言葉に驚き、目を見いて私を見た。
私は、彼の目をまっすぐに見据えて言葉を続けた。
「ただ自分を犠牲にして助けることだけが、優しさじゃない。助けられたが、今度は誰かを支えられる所を作ってあげることも、優しさでしょう?」
私の声は、のぶりで微かに震えていた。
それでも、私は決して彼から目をそらさなかった。
「私も、ずっとすることだけが、優しさだとっていました」
私は、過の自分をねわせるように、苦しい胸の内を吐した。
「でも、それでは誰も、私の本当の気持ちをろうとはしてくれなかった。あなたまで、あのの私と同じことをしないで」
総郎は、い黙り込んだ。
そして、い包帯が痛々しく巻かれた自分の首を、ただじっと見つめていた。
そのだった。
病のドアのの廊で、ガタッと物音がした。
私が驚いて振り返り、ドアをけると、そこにはいがけないたちがっていた。
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玲子さん、老漁師の源蔵さん、総郎に助けられた職の老夫婦、そして若い漁師たちが、皆、配そうな顔で廊に並んでいたのだ。
どうやら、私たちの激しいやり取りを、でずっと聞いてしまっていたらしい。
廊にっていた源蔵さんが、子を両でく握りしめながら、ゆっくりと病のへ入ってきた。
「総さん。わしらを守ると言いながら、わしらを何もできんにする気か」
源蔵さんは、涙ぐんだ目で総郎を睨みつけ、かすれた声で言った。
玲子さんも、源蔵さんのろからみて、言葉を継いだ。
「今度は、私たちに働かせて。これはただの恩返しじゃないわ。これは、私たちの港の仕事だから」
総郎は、ベッドので唇をく噛み締めた。
やがて、彼はく息を吐きし、皆に向けて々とをげた。
「どうか、力を貸してください」
そのい言を聞いた瞬、廊に集まっていた全員が、ポロポロと涙を流しながら、したように笑いった。
その、私はついに本当のことをすべてった。
総郎は、単なる介の牡蠣養殖業者などではなかった。
彼は、この港で44が働く産会社の代表取締役だったのだ。
しかし、派な肩きとは裏腹に、会社にはまったく余裕がなかった。
彼は、本の級料亭やホテルへ直接販売して得た利益を、港の齢の漁師たちからの買い取り価格の乗せや、加で働く女性たちの料に、すべて回し続けていたからだ。
皆が帰った、私は病で2きりになった彼に尋ねた。
「どうして? どうして今まで何も言わなかったの?」
「助けているつもりは、ありません」
彼は、穏やかな表で答えた。
「働いたが、働いた分だけ、ちゃんと受け取れるようにしたかった。ただ、それだけです」
「でも、このままでは、あなたの会社がなくなってしまいます」
私がそう言うと、総郎は静かに目を伏せ、答えなかった。
実は、港のたちは、総郎のその自己犠牲に、々気づいていたのだった。
老漁師の源蔵さんは、で私にこう教えてくれた。
「あいつが、相よりく買っていることくらい、とっくに分かっとった。でも、気づいたとにせば、あいつはもう、わしの牡蠣を買わなくなる。だから、その値段に負けない最の牡蠣をす。それが、わしなりの返し方だったんじゃ」
加の玲子さんも、しみじみと言った。
「私たちは、この10、ずっと彼に恩を返したかったの。でも、あのは決して受け取ろうとしなかった」
その言葉を聞いた、私ののに、かつて働いていたの売りの景が、鮮やかに浮かびがった。
『選ばれない本に、きの言葉を添え、それを本当に必なへ届けた』
あのの仕事が、今ここで活かせるかもしれない。
私は、港のみんなを集めて、1つの提案をした。