"十年の沈黙と離婚届" 第7話
私が受話器を置いてから、事態のはでございました。 グループの最監査委員会がくのに、何の躊躇も迷いもございませんでした。 ただく、法と規定に則った監査のメスを入れなさいという私の指示つで、社に及ぶ関連企業へ、斉に抜き打ちの特別内部監査が入ったのでございます。
宗方の族が得ていた位や役職は、何つとして彼ら自の血の滲むような実力や実績によって勝ち取られたものではございませんでした。 すべては、私の名と、グループの威という「縁故」によって埋められた、実態のない名ばかりの子に過ぎなかったのです。
帳簿をけば、その腐敗の証拠は、隠しようもなく面のに溢れ返ってまいりました。 義父が座っていた「特別経営顧問」という禄の子には、過、彼が提した業務報告や経営指導の記録がただの枚もしておりませんでした。ただに度、運転付きので会社に現れ、応接で級茶を啜って遣いを受け取っていただけでございました。 孝幸の兄が就いていた「発推本部・総括部」という肩きに至っては、その部署に配属されている部が誰おらず、机と名刺だけが用された完全な幽霊ポストでございました。
広告
義母が毎のように入りし、サロンのように利用していた傘の老舗百貨の特別商サロンでも、彼女が「ツケ」にして購入していた級毛皮や宝の代が、すべて宗方の関連企業の交際費として当に付け回されていたことがのに晒されました。
数字というものは、実に正直でございます。 言葉は嘘をつき、は虚勢を張りますが、帳簿のに刻まれた数字だけは、決して誰に対しても嘘をつかないのでございます。
私が元の見えない糸を本、静かに引いただけで、彼らがかけて築きげたと信じ込んでいた砂のは、音をてて脆く崩れっていきました。 各社の緊急取締役会は、法令遵守とコンプライアンス違反、そして背任の疑いをもとに、宗方族名に対する即解任および懲戒解雇の処分を満致で決定いたしました。
当然、激しい抗議の声ががったと聞き及んでおります。 義母は取り乱し、息子の解雇通を握りしめて各社の役員へ鳴り込みの話をかけ散らしたそうでございます。 「誰のおかげでこのが成りっているとっているの! 宗方のを侮辱する気ですか! 層部に掛けって、あなたたちの首を全員ばしてやるわ!」 どこかに掛けいさえすれば、昔のように話が覆るとい込んでいたのでしょう。
けれど、その掛けおうとした先の本社の専務も、グループの法務統括も、すべては私の傘の内側、私のとなってく部たちだったのです。
根拠のない位に、守るべき正当な理由などどこにもございません。 彼らが「名・宗方の力」だと信じ込んでいた巨な岩盤は、実は私が彼らの元に敷いて差しげていた、たった枚のいのに描かれた絵に過ぎなかったのだという現実が、容赦なく彼らを打ちのめしたのでございます。
そのの夕暮れ。 会社を突如として解雇され、私物を段ボール箱に詰め込まれて叩きされた孝幸が、血相を変えて敷へと転がり込んできました。 ネクタイはきく曲がり、仕ての良いはずのスーツの膝にはがつき、朝方のあの傲岸な態度は見るもなく消え失せておりました。
居の机ので、私は静かに正座をして彼を待っておりました。 孝幸は私を見るなり、息を喘がせながら、狂乱したように鳴り散らしました。
「ど、どういうことだ! 会社が……俺の部署が、今付で突然廃止された! 親父の顧問契約も打ち切られ、兄貴も、叔父さんたちも、全員が解雇通を突きつけられたんだ! グループ全体の監査が入って、宗方のが全員締めされた! 何かの謀だ、誰かがうちのを陥れようとしているんだ!!」
孝幸の唇は激しく震え、顎からはボタボタとたい脂汗が滴り落ちておりました。