"母の還暦祝いで家を奪おうとした夫" 第14話
私はにっこりと笑った。
「私も勉したいから」
オフィスが瞬静まり返った。
妻が夫に親孝の計画を聞く。
質問自体はごく自然で、誰も審にはわない。
レオも断るわけにはいかない。
ここで断れば、先ほどのスピーチが全て嘘になってしまうからだ。
彼は微笑んだ。
「もちろんだよ」
彼はマイクを握り直し、話し始めた。
「お義母さんが今んでいる古いはエレベーターがないから、便だろうとずっとっていたんだ」
彼は計画を披した。
「だからいずれは、エレベーター付きのマンションに買い替えて、俺たちのくに引っ越してもらおうかと考えてる」
彼は優等のような顔で、締めくくった。
「そうすればゆかもだし、お義母さんも楽だからね」
同僚のが、それはいいアイデアだと頷いた。
私も頷いた。
「本当に素らしいわ」
私はふと、いしたように聞いた。
「ところで、母のマンションが何階かってる?」
レオの言葉が止まった。
ほんの瞬だったが、確かな空だった。
彼は探るように答えた。
「階、かな?」
私は微笑んだ。
「階よ」
佐藤さんがうつむいてお茶をみ、肩を震わせた。
レオはすぐに取り繕った。
「そう、階だ。つい勘違いしてしまって」
私は質問を続けた。
「じゃあ、この漏れしたと言っていたけど、番ひどかったのはどの部?」
広告
私は彼を追い詰めるように、言葉をねた。
「には業者を呼ぶって言ってたわよね」
彼がマイクを握る指に力が入った。
彼はし戸惑いながら答えた。
「キッチン、かな?」
私は首を振った。
「さな寝よ」
私は静に事実を告げた。
「キッチンが漏れしたのは、昨の話」
オフィスので、何かが線を交わし始めた。
レオの笑顔は消えていなかったが、すでに張り付いたようになっていた。
彼は私を見つめ、もうやめろと目で訴えかけてきた。
私は止まらなかった。
「丈夫よ。男のは細かいことを忘れるものだから」
私は穏やかな調を崩さなかった。
「でも、母がんでいる血圧の薬の名は覚えているわよね?」
私は首を傾げた。
「先、あなたが代わりに買ったと言っていたし」
彼は沈黙した。
空気はく張り詰めた。
横にいた部が、気まずそうに割って入った。
「まあまあ、ご族がお寄りを気遣う気持ちが番事ですからね」
部は苦笑いした。
「細かいことはおいおい」
私は振り返って微笑んだ。
「ええ、方向性が番事ですよね」
そして、再びレオに向き直った。
「だから聞きたいの」
私は核を突いた。
「あの古いマンションは今、いくらくらいの価値があるとってる?」
私はさらに問い詰めた。
「しいを買うの差額は、どう補填するつもり?」
私は彼の目から線をさなかった。
「の名義は誰にするのが妥当だと?」
私は静かに言い放った。
「そういうことは、はっきりと覚えているんでしょう?」
言葉が終わると、会議スペースは完全に静まり返った。
レオの目のがついに変わった。
先ほどまでの優しさ、いやり、落ち着きといったい膜が、私の質問によって無残に破り捨てられたのだ。
彼は私を見つめ、声を押し殺して言った。
「ゆか、ここは会社のイベントだ」
彼は警告するように言った。
「の話をする所じゃない」
私は静かに返した。
「でも、さっきまであなたが話していたじゃない」
数がうつむいてスマートフォンをいじるふりをし、番ろにつ佐藤さんは顔を張らせていた。
皆、気づいたはずだ。
義母のの階数も、漏れした部も、薬の名も忘れる男が、の価値や名義のことはっきりと計画している。
これはただの忘れっぽい夫ではない。
良を覆い隠すほどの、きな打算があるのだと。
レオはすぐに態勢をて直し、笑顔を作った。
「の価値について詳しく調べていたのは、もって計画をてるためだよ」
彼は周囲に弁するように言った。
「ゆかは最プレッシャーがきくて、俺の図を誤解しているみたいだ」
彼は私を、な女にしてあげようとしていた。
彼がよく使うだ。
プレッシャーだの、誤解だの、考えすぎだのと言えば、面を彼の得な俵に引きずり込めるのだ。
落ち着いた夫と、神経質な妻。