"夫の毒膳と孫の告発〜元科捜研妻の科学鑑定〜" 第6話
「異物……? そんなはずはありません。今にしたものといえば、夫が作ってくれた筑煮と、いつもんでいるビタミン剤のサプリメントだけです」
「サプリメントですか?」
医師の目がすっと細くなった。
「以からお話しされていた、あのビタミン剤ですね。……岩田さん、あくまで能性の段階ですが、次回受診される際、そのサプリメントの実物をお持ちいただけませんか? の成分に、あなたの体質に著しくわないものが含まれている能性があります」
医師は能性のつとしてそう提案してくれたが、私のには拭いきれない違が残った。サプリメントは何もから同じ銘柄を用し続けているのだ。もしも成分そのものが原因なら、なぜ数が経過した今になって、これほど急激に命を落としかけるような毒症状がるというのか。
結局そのは点滴を受け、体の痙攣が収まった夕方に陽太を連れて帰宅することとなった。
しかし、胸のざわめきは決して消えることはなかった。
帰宅したの夕暮れ。
居のソファーに陽太と並んで腰掛けていた。夕方のテレビ欄をつけると、偶然にも私が昔から好きだったサスペンスドラマの再放送が始まるところだった。
「おばあちゃんの好きなドラマ、始まったよ!」
陽太がリモコンを指さして教えてくれた。
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画面のでは、事件の幕けから犯の凶に至るスリリングな展が続いていた。そして――あの瞬が訪れたのだ。
犯の女が、すり鉢のでい眠薬の錠剤をごりごりと音をててすり潰し、夫のべる事のにい末を振りかける面。
それを見た陽太が、画面を指さして叫んだ。
『おじいちゃんのと同じだ』
『昨もおじいちゃん、台所でいっぱい潰してたもん』
あの無邪気な証言が、私のので鳴のように響き渡った。
夫が台所で眠薬をすり潰していた。
もし、それが本当だとしたら――。
すべてが繋がってしまう。私が何も苦しんできた目眩も、常な朦朧も、そして今、筑煮をべた直に識を失って倒れた理由も。
私は即座にを起こした。
台所の蔵庫に残されていた筑煮のタッパー、そしてリビングの棚に置かれていたサプリメントのボトルを鞄に詰め込み、陽太のを引いてタクシーにび乗った。
向かった先は、かつての私の古巣である民の科学捜査研究所だった。
移のタクシーので、私は輩である所の携帯話を鳴らし、事をに伝えて緊急の鑑定を依頼した。所は事のさを察し、休返で私をラボで迎えてくれた。
「礼子さん、お久しぶりです! お話で伺いましたが、急な鑑定依頼なんて体どうされたんですか?」
を着た所で、私は陽太が目撃した夫の奇妙なと、数に及ぶ私の謎の体調良、そして今の病院での医師の言葉をすべて洗いざらい打ちけた。
「もしも……何らかの形で薬物が混入されているとすれば、そのには当たりがあるの。だからこそ、に流されず、科学の目でしっかりと鑑定してほしいのよ。どんな結果がても、私は受け止めるつもりだから」
所は私のからつの検体を受け取ると、真剣な差しで頷いた。
「分かりました。病院の検査で肝能の数値だけが異常にねがっていたとすれば、最も疑われるのは向精神薬――眠薬の類ですね」
「向精神薬……?」
「はい。眠薬や精神定剤は、通常の健康診断や般な血液検査では薬物そのものの成分は検されません。しかし、肝臓で過剰に代謝される過程で、ガンマGTPなどの数値がねがることがあるんです。……礼子さん、眠薬を常用された覚えは?」
「いいえ、私は度も処方されたことはないわ。ただ……」
私は記憶の糸を繰り寄せた。
「夫の国彦が、息子ののショックで眠れないと言って、数から療内科に通って眠薬を処方されていたはずよ」
所の顔が引き締まった。
「すぐにガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)にかけます。礼子さん、しここで待っていてください」
所が検体をに分析へと消えていった。