"妹のドレスを二十センチ切った" 第7話
ただ、窓の隙から差し込むかすかな灯のを、ぼんやりと見つめている。
私は元に落ちていたプリント用を踏まないよう、慎に部のへんだ。 には、このかにわたって母と美玖がき込んできた、結婚式のスケジュール表や表のコピーが散乱していた。 几帳面な美玖の文字で、青いボールペンの修正線が幾にも引かれている。
『ガーデンでのウェルカムパーティー止(元の全のため)』 『キャンドルサービスでの各卓ラウンド止(婦の体調を考慮)』 『親族集写真:婦は列央、着席(ち姿での撮はわない)』
すべて、健さんの母親である加奈子さんの跡で、欄に赤い付箋が貼られていた。 『健の会社関係者への配慮を最優先に』 『目たぬよう、自然に』 『美玖さんの負担を減らすため()』
私はそのの枚を拾いげ、ベッドの端に腰掛けた。 ギシッ、とベッドのスプリングが軋む。
「……ていってよ」
美玖の掠れた声が、暗に落ちた。 もしていないのだろう。声は完全に枯れ果てていた。
「にメイクさんが来る。もうがない」
「関係ないでしょ。お姉ちゃんが壊したんじゃない。私の結婚式も、ドレスも、全部」
「美玖」
「触らないで!」
美玖が膝をく抱え直し、顔を埋めた。 刻みに震える背は、あまりにもく、さかった。
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「お姉ちゃんには、わからないよ」 美玖のくぐもった声が、シーツに吸い込まれていく。 「お姉ちゃんは体満で、で何でもできて、誰かに養ってもらう必もないから。自分の正義だけで、のをめちゃくちゃにできるんだよ」
胸の奥が、ぎゅっと締め付けられた。 頬に残る母の平打ちのが、再びズキズキと痛み始める。
私はにした表の束を、膝ので静かにえた。 言い訳をするつもりはなかった。 昨夜の私のは、まぎれもなく暴力だった。 いくら義憤に駆られていたとはいえ、妹のれ台の装を、本のもなく夜に切り刻む為が、正当化できるはずもない。
「……これ、見てた」
私は表の余にかれた、美玖のさなメモを指先でなぞった。 そこには、『笑顔でいること』『絶対に痛そうな顔をしないこと』『健さんに恥をかかせないこと』と、自分を戒めるような言葉が何度もき殴られていた。
「昨夜、お義母さんから私にメッセージが届いた」
美玖の肩が、微かにねた。
「なんて……?」
「『美玖さんのようなお体の方をお迎えすること、私どもにとっても変な覚悟と慈が必でございました』って。『健の顔にを塗るようなことだけは避けてほしい』っていてあった」
美玖は顔をげなかった。 だが、シーツを握りしめる両の爪が、くなるほどくい込んでいくのが見えた。
「ってたんでしょう」 私は静かに言った。 「あのたちが美玖をどう見ているか。の傷を、どれだけ忌まわしい欠陥として扱っているか。美玖は、全部気づいてた」
「……気づいてたら、何?」
美玖がゆっくりと顔をげた。 泣き腫らした目は真っ赤で、唇は血の気を失ってに変していた。 その瞳には、諦めと、侮蔑と、そして底れない疲労が混ざりっていた。
「気づいてたら、全部放りして『私を差別するな!』って鳴り散らせばよかったの? 式をドタキャンして、破談にして、またあのリハビリ病院に通ってた頃みたいに、お母さんとで泣きながら暮らせばよかったの?!」
美玖の声が、次第にを帯びていく。 抑え込んできたのダムが、決壊を始めていた。
「健さんはね、度も私のを『汚い』とは言わなかったよ。ににったも、私の傷痕を見て、優しく撫でてくれた。『痛かったね、頑張ったね』って言ってくれた。それだけで……それだけで分じゃないの!」
「でも、では隠せと言った」
「それは世体があるからでしょ!」 美玖がベッドをバンと叩いた。 「健さんのお父さんは会社の役で、健さん自も同期トップで世なの! そんなの結婚式に、がケロイドで引きつれた嫁がてきたら、参列したたちがなんて噂するか、お姉ちゃんに像できる?! 『あんなの嫁をもらってに』『世に響くんじゃないか』って、でヒソヒソ言われるのよ! 健さんが恥をかくだけなの!」