"偽りの仕送りと緑の通帳" 第17話
『私もを取り、寂しさとから、取り返しのつかない酷いことを言ってしまいました』
『どうか許してほしい。もう度、族としてやり直したい』
を読んだ私は、めた気持ちで便箋をテーブルに置いた。
自分でも悪いことをしていたという自覚はあったのだ。それなら、なぜもっとくそのを止めなかったのか。族をこれほどまでに傷つけるに、踏み止まることができなかったのか。今さら枚で許されるとっているその甘えが、虫唾がるほどだった。
話を着信拒否されているからこそのだったのだろう。
唯、着信拒否をしていなかった奈々のスマートフォンには、毎のように義母からの着信履歴が溜まっていた。
「お母さん……話、た方がいいのかな?」
奈々が配そうに画面を見せてきたが、私は静かに首を横に振った。
「奈々が無理してる必はないわ。あなたが傷つく筋いなんて、どこにもないのよ」
奈々はさくため息をつき、スマートフォンの画面を伏せてテーブルの隅に置いた。
それでも、義母の執は衰えなかった。
親戚を経由して「母さんがどうしても連絡を取りたがっているから、度だけでも話を聞いてやってくれ」と懇願された浩が、困り果てて帰宅した。
堀を埋められ、これ以親戚に迷惑をかけるわけにもいかなくなった私たちは、を決して、度だけ義母に話をかけることにした。
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浩がスピーカーフォンにして話をかけると、コール音が度鳴っただけで、ガチャリと受話器ががった。
『……もしもし! 真美さん!? 浩かい!?』
受話器の向こうから、縋り付くような義母の掠れた叫び声が響いた。これほど素い反応をするなんて、話のに座り込んで待っていたに違いない。
『ああ……よかった! やっと繋がった! 真美さん、本当に悪かったとってるのよ! 私、じゃにもけなくて、買い物も……!』
取り乱してまくしてる義母の声を聞きながら、私は氷のように徹な声で告げた。
「……お久しぶりです、お母さん。でも、私たちにはもう、あなたを助ける理由も義務もありません。度と話をかけてこないでください」
『待って! お願いだから切らないで、真美さ――』
受話器の向こうの鳴を遮り、私は赤い終話ボタンを迷わずタップした。
ツー、ツーと切れる音を聞きながら、私の胸には片の迷いもなかった。
翌、義姉の恭子さんから連絡が入った。
「真美さん、お母さんから話があったでしょう? 実はね、私のところにも親戚から泣きつきの連絡が入ったのよ。だからね、私も夫と話しって、お母さんにはっきり宣言したの。『もう度と仕送りもしないし、お世話もできません』って」
話の向こうで、恭子さんはスッキリとしたるい声で笑っていた。
仕事だった男の義兄も、今回の親戚を巻き込んだ騒でようやく母親の異常性に気づき、恭子さんを解放することを全面に認めてくれたのだという。
男夫婦もまた、完全に義母から脱したのだ。
誰からも援助されず、親戚からも見放され、完全に社会から孤してしまった義母。
すべては自業自得の結果だった。
しかし――平穏な々を過ごしながらも、私の胸の片隅には、どこか割り切れない鉛のようなモヤモヤが澱のように残り続けていた。
季節は巡り、の寒さがらいで柔らかなのが吹き始めた頃のことだった。
あるの夕暮れ、仕事を終えて帰宅した奈々が、台所で夕の支度をする私の横にち、ぽつりと呟いた。
「……お母さん。おばあちゃん、今どうしてるかな。元気にしてるのかな……」
「奈々? どうしたの、急に」
私が驚いて包丁を止めると、奈々はし伏し目がちに、自分のエプロンのポケットをいじりながら言った。
「うちの施設に入居してるお寄りのにもね……族と喧嘩しちゃって、誰からも面会に来てもらえないたちがいるの。寂しそうに窓のを眺めてる姿を見てると……ふと、おばあちゃんのことをいしちゃうんだよね。……あんなに酷いことを言われたのに、変だよね」
奈々の瞳には、かつて自分を傷つけた祖母に対する憎しみではなく、純粋なれみと配のが宿っていた。