"偽りの仕送りと緑の通帳" 第15話
「そんなに誰かの役にてる毎が、私はとっても幸せなの。学歴やおなんかよりも、困っているのに寄り添うことこそが、私のの誇りだから!」
かつて義実の片隅で震え、涙を流すことしかできなかった女が、自らの尊厳を堂々と宣言したのだ。
のあまりにも真っ直ぐで力い言葉のに、君代は完全に気圧され、ぐうの音もない様子で肩を落とした。自分のみすぼらしい価値観では、これ以太刀打ちできないことを悟ったのだ。
追いつめられた義母は、最の縋りつくようないで、隣にいた男の嫁――恭子さんの腕に必にしがみついた。
「き、恭子さん……! 聞いてたでしょう!? このたち、寄ってたかって寄りの私を虐めて、邪険にするのよ……! 私にとって、本当の族は……優しいあなたたち男夫婦だけよ……!」
々しい声を絞りし、涙声で訴えかける君代。
恭子さんは、縋りついてくる義母のを乱暴に振り解くことはしなかった。
その枯れ枝のように痩せたを、自分の両でそっと包み込んだ。君代は瞬、「方をしてくれるのだ」と堵の表を浮かべた。
しかし――恭子さんの元に浮かんだのは、ひどくしげで、ぎこちない諦めの笑みだった。
「……お母さん。私からも、ずっと言わなきゃいけないことがあったんです」
「え……? な、何よ、恭子さん……?」
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恭子さんは静かに息を吸い、部の空気が凍りつくような、決定な真実を告げた。
「……実はね、お母さん。私も……夫も、お母さんに仕送りなんて、度も振り込んだことはないんですよ」
「……は?」
君代の顔から、サーッと血の気が引いていった。
目ののが、いったい何を言っているのか理解できないというように、瞳孔が激しく揺れている。
「な……何を言ってるの……? だって、毎万円を……」
「あれは、お母さん自の座から、私たちが活費として貯を引きして、封筒に入れてお渡ししていただけなんです」
恭子さんは痛ましそうに眉をひそめながら、しかし言言を噛み締めるように告げた。
「お母さんが、自分でへけないことを認めたがらなかったから……プライドを傷つけないように、私たちが黙ってわせていただけなんです。だから……真美さんたちを責めるのは、筋違いです」
「な……なんですって……!?」
君代の喉から、掠れた鳴のような音が漏れた。
顔は真っ青を通り越して気になり、唇が激しくガタガタと震えている。
「う、嘘よ……嘘よそんなの! みんなで……あんたたち全員で、結託してこの私を騙していたのねぇぇぇっ!?」
「騙していたわけではありません。お母さんのためをって――」
恭子さんが弁解しようとした言葉を遮り、君代は狂乱したように両を振り回して絶叫した。
「もういい! ていけ! 全員ていけぇぇぇっ!! どいつもこいつも、私の族なんかじゃないわ! 度と私のに顔を見せるなぁぁぁっ!!」
髪を振り乱し、座布団や湯呑みを投げばさんばかりの勢いで喚き散らす義母。
私たちはそれ以、何も言わなかった。
「……失礼します」
私と浩、奈々はちがり、く礼して居をにした。恭子さんもまた、いため息をつきながら私たちのに続いた。
玄関をて、澄み切ったの空気を胸いっぱいに吸い込んだ瞬、私の背から、背負わされてきたたい鉄の鎖が、音をてて々に砕け散ったような解放が広がっていった。
もう、あのに縛られることは度とないのだ。
あの修羅の以来、私たちは義実との連絡を完全に絶った。
スマートフォンには君代からの着信履歴が何度も残されていたが、私と浩は迷うことなく着信拒否を設定した。
その、義姉の恭子さんから聞いた話では、恭子さんも何度か義母の元を訪れて活の確認を試みたのだという。
しかし、プライドを完全に砕された義母は、玄関の鍵を固く閉ざし、インターホン越しにこう鳴り散らしたそうだ。
『私に恥をかかせた裏切り者め! あんたなんかの顔は見たくもない! 私にはね、にも頼れる親戚くらいたくさんいるんだよ! あんたたちなんかに頼らなくても、派にできていけるわ! もう度と来るな!』