"偽りの仕送りと緑の通帳" 第11話
械に極端に疎い義母にとって、これが振込完の細ではなく、ただの確認画面の写真であることなど見抜けるはずもなかった。そもそも、の悪い義母がでへって通帳記入をする術などないのだ。
「……ふん! やっと分かったのね、親孝のが!」
君代は画面を確認するなり、目尻をげて満げな笑みを浮かべた。
「いいことよ。言われなきゃできないなんてけないけれど、男のところを見習ってきちんと仕送りをするようになったんだから、しは見直してあげてもいいわね」
自分のい通りに事が運んでいると信じ込んだ義母は、途端に嫌を良くした。
、義母のこんな満面の笑みなど見たことがなかった。私を散々罵倒してきたが、画面枚の写真に騙されて頂になっている姿は、滑稽を通り越してれですらあった。
「お母さん、それからこれ。領収代わりの封筒ですけれど、タンスの番の引きしに入れておきますからね」
「ええ、そうしておいてちょうだい!」
私は空っぽの茶封筒をに持ち、居の隅にある背のいタンスへと向かった。
の悪い義母のでは到底が届かない、番の引きしをガラリとけ、そのへ恭しく封筒をしまい込む。実際にはなど円も入っていない、ただの切れだ。
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義母は座子からくこともなく、ただ満そうに頷いていた。
だが――義母の君代も、完全にボケているわけではなかった。
それから数週が経ったある、義姉の恭子さんから私のスマートフォンに警戒を促す連絡が入った。
『真美さん、気をつけて。お母さん、最真美さんが何も文句を言わずに従順になったことを、逆に気にい始めてるみたいよ。「あの嫁が、あんなに素直に万もすなんておかしい」って、私に探りを入れてきたの』
「……そうですか。教えてくれてありがとうございます、恭子さん」
話を切った私は、さく息を吐いた。
疑われ始めていることは百も承だった。だが、バレたはそのだ。私はすでに、義母との関係が完全に破綻することなど恐れてはいなかった。
そして、夫の浩にも、らかな変化が現れ始めていた。
かつては母親と妻ので板挟みになり、面倒から逃げるように実を避けていた夫だったが、ある決定な来事を境に、その識がきく変わりつつあったのだ。
それは、私たちが仕送りの偽装作を始めてもない頃のこと。
仕事から帰宅した娘の奈々が、夕の席でぽつりと、義母から以言われた暴言のことを浩に打ちけたのだ。
『おばあちゃんにね、卒で老の世話しかできない無能だって……お父さんとお母さんの恥晒しだって、言われたの』
そう言った瞬、普段はるく気丈に振るっていた奈々の瞳から、粒の涙がポロポロと零れ落ちた。娘が父親ので声をげて泣いたのは、学の以来だった。
その姿を目の当たりにした浩は、に打たれたような衝撃を受けていた。
自分が仕事の忙しさを言い訳にして目を背けているに、実の母親が、自分の最の娘のをどれほど残酷に切り刻んでいたのか。その現実を、ようやく骨に染みて理解したのだ。
その以来、浩のから「母さんの言い方は、いくらなんでも酷すぎるよな」「族を傷つけるようなを、母親だからって庇う必はない」という言葉が自然と漏れるようになった。
、孤独に戦い続けてきた私にとって、夫がようやく同じ方向を向き、族としての盾になろうとしてくれたことは、涙がるほどい変化だった。
しかし、義母の疑は増しにくなっていった。
私が週に度、義実の掃除や買いしの確認のために訪れるたび、居の座子に座った君代は、値踏みするような線で私を呼び止めるようになった。
「ねえ、真美さん。ちょっとそこのタンスから、仕送りの封筒を取ってちょうだい」
キッチンで洗い物をしていた私は、を止めて義母を振り返る。
義母はが悪いため、ちがってタンスの番の引きしまでを伸ばすことができない。
届いたとしても、体を支えられずに倒れてしまう。