"偽りの仕送りと緑の通帳" 第10話
(だったら……私たちも、全く同じように『見習って』差しげればいいんじゃないかしら?)
義母の言葉通りに見習うのだ。
実際に私たちが銭を切る必などどこにもない。義母自の貯からかすか、あるいは――。
いや、私は恭子さんのように優しくはない。にわたって娘と私を侮辱し続けてきたあの女に対して、慈など持ちわせているはずがなかった。
(徹底に見習ってやるわ。でも、私たちが渡す額は――ゼロ円よ)
元に、たくもれやかな笑みが浮かぶのを止められなかった。
久しくじたことのない、胸がすくような揚とワクワクしたが、全を満たしていった。
席に戻ると、恭子さんが私の顔を見て、目を丸くして驚いた。
「あら、真美さん。なんだかとってもいい笑顔をしてるけど、どうかしたの?」
「ふふっ……ええ。ちょっと、とってもいいことをいつきまして」
私は悪戯っぽく笑いながら席に着き、恭子さんのにカップを置いた。
復讐の歯が、音をてて噛みい始めた瞬だった。
そのの夜。
夕を終え、リビングでテレビをぼんやりと眺めていた夫の浩のに、私は温かいお茶をコトリと置いた。
「浩、ちょっと事な話があるの」
「……あ? また母さんの話かよ……」
浩は骨に嫌そうな顔をして構えたが、今の私はいつものようにい詰めた表をしていなかった。
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私は努めて穏やかな声で、昼に恭子さんから聞いた衝撃な事実と、私がいついた計画のすべてを夫に淡々と伝えた。
男夫婦が実際にやっている「仕送り」の正体が、ただの義母自の貯の引きしに過ぎないこと。
そして、義母が「見習え」と言うのなら、私たちも円も銭を切らずに義母を満させる方法があるということ。
浩は目を黒させ、ぽかんとをけて私の話を聞いていた。
そして、すべてを理解した瞬、を抱えて唸り声をげた。
「マジかよ……兄貴たち、仕送りなんてしてなかったのか……。母さん、ずっと自してたのに……」
「そうよ。だから、私たちが毎万円なんてを払う必は、最初からどこにもなかったの」
私がややかに告げると、浩はバツが悪そうに線を泳がせ、さく呟いた。
「……まあ、俺もさ。母さんのあのやり方は、いくらなんでも違ってるとはってたんだよ」
「あら、そうなの? 今までは全然そんなには見えなかったけれど」
私がチクリと皮肉を刺すと、浩は子どものようにし拗ねた表をしてを尖らせた。
「だってしょうがないだろ……。自分の母親に面と向かって反抗するのって、男にとっちゃ結構難しいんだよ……」
けない言い訳だったが、今の浩はなくとも、母親の方をして私を責めようとはしていなかった。
私に協力する姿勢を見せているだけでも、今は目に見ることにした。
こうして、私と夫の「ある」が幕をけた。
翌週の初め、私と浩は駅ののATMコーナーへと向かった。
私は画面のにち、タッチパネルを操作して『お振込み』のボタンを押す。振込先の座番号として、義母の座報を入力し、額の欄に『150,000円』と打ち込んだ。
画面には、数料を含めた額と、義母の氏名、そして『記の内容でよろしければ確認ボタンを押してください』という最終確認の画面がはっきりと表示される。
カシャリ。
浩がスマートフォンのカメラを構え、その画面をくっきりと鮮に撮した。
そして――私は画面のに赤くる『確認』ボタンではなく、隅にある『取消』ボタンを迷わずタップした。
チャリンと、カードと通帳だけが吐きされ、現は円も引き落とされない。座の残は円たりとも減っていなかった。
そのの午、私は撮した振込画面の写真をスマートフォンに表示させ、義実を訪れた。
「お母さん、こんにちは。先ほどへって、浩と相談した通り、今分の仕送り万円をお母さんの座にお振り込みしてきましたよ」
私はスマートフォンの画面を、居の座子にふんぞり返っている君代の目のに差しした。
君代は目を細め、老鏡越しに画面をじっと覗き込んだ。
画面には、今の付と、義母の名、そして『150,000円』という数字が燦然と輝いている。