"愛人の妊娠を信じた夫と15年前の無精子症診断書" 第17話
応接に通された私は、昨夜見つけた精液検査報告のコピーを先のに置いた。
私は事実を告げた。
「先、夫は無精子症でした。つまりの妊娠も、娘の血縁も、全て嘘だったんです」
私が静かにそう告げると、数くの修羅をくぐり抜けてきた先でさえ、瞬言葉を失って目を見いた。
先は報告を見つめた。
「なるほど。ご主は自分の虚栄のために、15もあなたを騙し続けていたのですね」
先はため息をついた。
「そして今、の嘘の妊娠に騙され、全てを捨てようとしていると」
私は頷いた。
「はい。ですから私はこの婚届を、まだ提しません」
私は鞄から健がいた婚届を取りし、テーブルに置いた。
私が勝にをたとなれば、利になるのは私の方だ。
だからこそ私はまだこのをない。
彼らが最も油断し、最も幸福の絶頂にいる瞬に、全てを叩き壊す必がある。
私は先に向かって計画を話した。
「先、今週末の曜に、義母の古希を祝う親族の集まりがうちのでかれます」
私はしっかりとを見据えた。
「夫はそこで、親族全員ので私との婚と美との再婚を発表するつもりです」
私の言葉に、先はメガネの奥の目を鋭くらせた。
「そこで、全ての証拠を公するのですね」
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私は静かに微笑んだ。
「はい。彼らが用した最の台で、彼ら自に獄を見てもらいます」
先は力く頷いた。
「わかりました。では、慰謝料請求の内容証との仮差押えの続きは、そのにわせて完させておきましょう」
先は元にあった分い茶封筒を私に差しした。
「佐藤さん、うちの調査員が鈴美の素調査を終えました」
先はを指し示した。
「彼女の妊娠の本当の父親が誰なのか、そして彼女とナナさんがどこで繋がっていたのか、全て判しています」
私はその茶封筒を受け取った。
の報告を静かに引きした。
そこに添付されていた数枚の写真を見た瞬、私はわず息をんだ。
美の隣で親しげに笑っている若い男の顔。
それは私が全く予もしていなかった、しかしよくっている物だったのだ。
先から渡された調査報告の写真。
そこに映っていた若い男の顔を見て、私は自分の目を疑った。
茶髪に染めた髪にシルバーのピアスをつけたその男は、違いなく見覚えのある物だった。
半ほど。
ナナが結婚を提に付きっていると言って、得げにに連れてきた恋の『達也』だったのだ。
先は静かに説した。
「この男、佐藤さんの娘さんの交際相ですね」
先は私を見た。
「実は鈴美とこの男は、2ほどから同棲している事実の夫婦なんです」
先の静かな説を聞きながら、私はパズルの最のピースが恐ろしいほどの完璧さではまったのをじた。
ナナはの達也にすっかりだった。
彼に貢ぐために父親である健におねだりをして、価なブランドバッグや現を引きしていたのだ。
そして達也は、そのろにいるづるの父親に目をつけた。
自分の内縁の妻である美を健にづけた。
つまり健とナナの親子は、達也と美という若い詐欺師のカップルに見事にで騙され、を搾取されていたのである。
美のお腹にいるという子供も当然健の子ではない。
同棲している達也の子供か、あるいは妊娠そのものが健から額の慰謝料と財産をむしり取るための嘘の能性がかった。
「なんという滑稽なたちなんでしょう」
私はわず応接のソファで、声を殺して笑ってしまった。
妻を政婦扱いし、自分たちは賢くしいをに入れると信じて疑わなかった夫と娘。
彼らがしがみついていたしい族の正体は、彼らを骨の髄までしゃぶり尽くそうとする若く貪欲な詐欺師だったのだ。
先は真剣な顔で言った。
「佐藤さん、これで相を完全に追い詰める材料は全て揃いました」
先は頷いた。
「あとは今週末の古希のお祝いの席で、彼らに引導を渡すだけです」