"愛人の妊娠を信じた夫と15年前の無精子症診断書" 第5話
そのあまりにも自然で必な態度が、彼の罪悪を何よりも雄弁に物語っていた。
私はそれ以追及することをやめ、ただ静かに彼の言葉をノートに記録し始めた。
何何、何に帰宅し、どんな匂いがしたか。
嘘をねるの言葉は、記録に残せば残すほど、からボロがるものだからだ。
そして違は匂いや領収だけにとどまらなかった。
がの計にも、目に見える形で異変が起き始めていたのだ。
15、健は毎活費として決まった額を、私の管理する座に振り込んできていた。
費、費、用品の購入費、そしてのローンの部。
決して潤沢ではなかったが、私がにやりくりをすれば分に暮らしていける額だった。
しかし4ヶのこと、座を確認した私は自分の目を疑った。
いつもよりきっちり10万円もない額しか振り込まれていなかったのだ。
驚いた私はそのの夜、リビングでテレビを見ている健にい切って尋ねた。
「あなた、今の活費なんだけど、しりないみたいで。何か違いでもあったのかしら」
健はテレビから目を逸らさなかった。
元のビール缶をソファののテーブルに、わざときな音をてて置いた。
「違いじゃない」
健は嫌そうに答えた。
「今会社の業績が悪くて、俺の役職当が削られたんだ」
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健は私を瞥した。
「おもニュースくらい見ているだろう。どこも景気なんだよ」
夫の声は、どこか逆ギレしているかのような刺々しさを含んでいた。
「これからはその額でやりくりしてくれ」
健は再びテレビに線を戻した。
「専業主婦なんだから、夫次第でどうにでもなるだろう。無駄遣いを減らせばいいだけの話だ」
会社の業績悪化。
その言葉を私は真に受けるふりをした。
しかし、堅メーカーの営業部である健の与体系が、事の通告もなく1ヶで10万円も急激にがるなどという話は、常識に考えてあり得ない。
それにもし本当に計が苦しいのであれば、夫自のにも何らかの変化が見られるはずだった。
だが健の活は、以よりもむしろ派になっていた。
着ているスーツは調され、趣のゴルフにかける頻度もらかに増えていた。
週末になれば、付きいだと言って級なゴルフバッグをに積み込む。
健は勇んでかけていく。
計が苦しいと言いながら自分の贅沢は切削ろうとしない夫の姿に、私は確信を持った。
消えた10万円は会社の景気のせいではない。
夫がで作った誰かのために、がの活費が削られているのだと。
さらに私をえ込ませたのは、娘のナナの態度だった。
学4になったナナは、就職活で忙しいはずの期にも関わらず、毎のように夜遅くまで遊び歩いていた。
そしてある、ナナが自分の部のゴミ箱にある名な級ブランドの袋を捨てているのを、私は見つけたのだ。
その数、ナナは学へく際、そのブランドの作のバッグを肩にかけていた。
20代半の女子が、アルバイトの料だけで簡単に買えるような代物ではない。
なくとも数万円はする品物だった。
私がキッチンのカウンター越しに声をかけた。
「ナナ、素敵なバッグね。どうしたの?」
ナナは勝ち誇ったような、馬鹿にした笑みを浮かべた。
「これ、パパが買ってくれたの」
ナナはバッグの持ちを指で弾いた。
「私がずっと欲しがっていたから、内緒でプレゼントしてくれたんだよね」
ナナはそう言うと、わざとらしくバッグを私の目ので揺らして見せた。
「ママはこういういバッグ、パパに買ってもらったことないでしょう?」
ナナは満そうに微笑んだ。
「パパって私には本当に甘いんだから」
ナナの言葉は私の胸にく突き刺さった。
夫は活費を10万円も減らし、私に無駄遣いを減らせと説教をしておきながら、裏では実の娘に価なブランドバッグを買い与えていたのだ。
そしてナナもまた、庭の経済状況が苦しいという夫の嘘をっていながら、私を傷つけるためにわざとその事実を自してきた。