"五人の元彼と三万一千円" 第7話
でも最には全員、同じ言葉を残して逃げていった。『千里と緒にいると、自分が汚い貸しになったような気がする』って」
回の破局。
の歳。
私は誰としてしていなかったわけではない。付きっているは、私なりに彼らを切にしようと必だった。けれど、私ののに巣っていた「借りを抱えることへの病な恐怖」が、彼らの純粋なをすべて毒に変えてしまったのだ。
「誰も……彼らは誰も、私に度も『を返せ』とは言わなかった。あのおのことをにすさえいなかった。でも、言われないからこそ、私のであの万千百円は、々膨れがっていったの。彼らが優しくしてくれるたびに、私は見えない利息を払い続けているような気がしてならなかった」
私はドレッサーの引きしから、ティッシュを枚抜き取った。
目を軽く押さえる。涙でアイメイクが滲まないように、皮膚を擦らないように、慎に。
「歳を過ぎて、俊平さんと会った。俊平さんは、私の過の暗い部分を無理に詮索せず、私の神経質な計管理を『しっかりしている』と受け入れてくれた。初めて、息ができる相に会えたとった」
私は俊平の目を見つめた。
「でも、結婚が決まったとき、私ののにあのの顔が浮かんだの。
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このまま俊平さんと結婚して、しいを始めることはできない。私のに、まだあのに対する『未払いの負債』が残っている限り、私は、過の霊に怯えながらきることになる……そうったの」
「それで……週に、あの振込をしたのか」
俊平の声に、い納得のが混ざっていた。
「万千百円を、で割った。あたり、万千百円。彼らの座番号は、昔のサークルの名簿や、別れ際に『精算するから』と無理やり聞きしたメモに残っていた。私は挨拶状を添えて、ひとりに振り込んだの」
『この度、結婚することになりました。の災の際、皆様からいただいたご支援の件、に抱え続けてまいりました。当の総額万千百円を等分し、返させていただきます。これまで本当にありがとうございました』
「綺麗さっぱり、清算したつもりだったのよ」
私は自嘲するように笑った。声が掠れて、喉が痛かった。
「これで私は、誰にも借りがない、まっさらなになれる。誰の恩義も踏みにじっていない、堂々とした妻として、俊平さんの隣にてる……そう信じていた。それなのに……」
今朝届いた、通の現留。
差名のない、同じ跡のない、しかし円の狂いもなく揃った万千百円の束。
「どうして……どうして送り返してくるのよ」
私はを見つめたまま、拳を握りしめた。
「受け取ってくれればよかったのに。のおを、きっちり返しただけじゃない。どうして今なの? どうして、私の結婚式のの朝に、こんな嫌がらせみたいなことをするのよ……!」
私の震える肩の向こうで、部のドアが控えめにノックされた。
「郎様、婦様、そろそろ親族紹介のおですが……」
プランナーの困惑した声が廊から漏れ聞こえてくる。
俊平はいため息を吐いた。そして、ネクタイをしだけ緩めると、ドアに向かって毅然とした声で応じた。
「すみません、あと分だけ待ってください。……それから、プランナーさん」
「はい、何でしょうか」
「先ほど庫に預けた、あの通の封筒を、今すぐこの部に持ってきていただけますか」
私は弾かれたように顔をげた。
「俊平さん、何を……!」
俊平は私を振り返った。その瞳の奥には、先ほどのたいりではなく、何かを確かめようとする、痛切な決が宿っていた。
「けるんだよ、千里。君がで背負い込んで、勝に清算した気になっていたものの正体を、僕たちので、今ここで全部確かめるんだ」
プランナーがの角盆に載せて持ってきたつのご祝儀袋は、ドレッサーのガラス板のに、等隔で並べられた。
部の空気は張り詰め、プランナーが退したあとも、が擦れる音すらく響いた。
「けてくれ」
俊平は私の横にち、く言った。
私は震える指先を伸ばし、番端にあったのし袋をに取った。