"締め出された新社長" 第16話
「契約通り、葉版は柳印刷に対して正式な違約を請求する。今回のフェアの損害賠償、および社への緊急振り替えに伴う差額分、わせて千百万円だ」
千百万。 町の利益が、瞬で吹きぶ額だった。
「それだけではない。が社は来期以、柳印刷への発注量を現状の割削減する。役員会を通した正式な制裁措置だ。……柳印刷の売は激減し、のボーナスはゼロ、によっては員理に踏み込まざるを得なくなるだろう」
胃の底がえ切っていく。 現実の制裁。容赦のない、の鉄槌。
「そして条件がもうつある。直君、君がでをげに来ることは認めない。神と奥田、このに過失報告を自らのでかせ、葉版の役員会に直接持ってこさせろ。私と、うちの社ので、自分たちが何を仕でかしたのか、何のために会社を危に陥れたのかを、自らので釈させろ。……彼らに、自分たちが犯した罪のさを、骨の髄まで背負わせるんだ」
松井専務はちがり、コートの襟をてた。 のベンチに、つの空き缶だけが残された。
「選びなさい、直君。親父の霊にすがりついて偽りの平を買い戻すか。それとも、血ヘドを吐きながら、本物の会社になるための獄の歩を踏みすか」
たいが、のを吹き抜けていった。
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私は目を閉じた。 の裏に、様々な景が浮かんでは消えた。 、父の背を見つめてきた々。 「社、どうしましょう」「社、決めてください」と、雛鳥のようにをけて待っていた社員たちの顔。 昨夜、アスファルトので無様に泣き崩れていた神。 タバコを握りしめ、「潰れるなら潰れりゃいい」と吐き捨てた奥田。
ここで私が救えば、彼らは救われる。 だが、彼らは、の尊厳を取り戻せない。 自分のでつことの苦しみも、の信頼を裏切ることの本当の恐ろしさもらぬまま、誰かの庇護ので老いていくだけだ。
それは、優しさではない。 ただの共犯関係だ。
私は目をけた。 迷いは、完全に消えっていた。
「……専務」
私の声は、自分でも驚くほど静かで、濁りがなかった。
「選択肢Bを、選ばせていただきます」
松井専務の眉が、ピクリといた。
「千百万の違約、全額お支払いいたします。来期の割減も、甘んじて受け入れます。……そして、神と奥田を、必ず葉版様の役員会に連れてきます。私が代わりに謝ることはいたしません」
松井専務は鏡の位置を直すと、私をからまで、値踏みするようにじっくりと眺めた。
「……言っておくが、社員が辞めるぞ。神も奥田も、守られてきたプライドをズタズタにされるんだ。逆みして会社をるかもしれない。
現が崩壊するかもしれんのだぞ」
「そのは、残ったと、しく入ってくるでて直します」
私は正面玄関を見据えた。
「父がかけて作った柳印刷は、昨、のトラックが届いた瞬ににました。……ここにあるのは、借を背負った、ただののしい会社です。私がやるべきことは、んだ親父の真似事をすることではありません。このに、自分たちので歩かせることです」
沈黙が流れた。 松井専務の元が、今度は皮肉ではなく、微かな、だが確かな笑みを刻んだ。
「……よし」
専務はく頷いた。
「ならば、今すぐその第歩を見せてもらおうか」
「え?」
「神と奥田を、ここへ呼べ」
松井専務は再びベンチを指さした。
「階のかい部で、社のに隠れて震えている豚どもを、この寒吹きすさぶのに引きずりせ。私が直々に、発注者としての引導を渡してやる」
私はくをげた。
「承いたしました」
私はスマートフォンを取りし、総務経理の坂井の内線を押した。 ワンコールで繋がる。
『は、はい! 社!』
坂井の声は鳴にかった。
「坂井さん。今すぐ、神部と奥田に伝えてください」
『な、何でしょうか……!』
「コートを着ずに、履きのまま、今すぐ通用からにるようにと。松井専務がお待ちだ。分以内に来なければ、今こので全取引の止を通告されると伝えろ」
『ひっ……! わ、分かりました!』
通話が切れてから、わずか秒だった。