"妻の手術翌朝、七通の解約通知" 第23話
という妥協点に達した、計の針はを回っていた。
ベッドに入った、体の節々が軋むように痛んだ。
だが、議なことに、胸の奥にあったあの鉛のようなたいみは、消えていた。
妻を蚊帳のに置かず、妻も夫を侵のATMとして扱わず、の活の痛みを同じテーブルので奪いい、分かちう。それはひどく臭く、で、エネルギーを消費する作業だったが、ぶりに、私たちが「対等な夫婦」として呼吸をしているという確かな実があった。
変化は、しずつ、しかし確実に現れ始めた。
の旬。
息子の学の始業式の、健太が珍しく私の斎のドアをノックした。
「お父さん」
「……ん? どうした、健太」
健太は元のプリントを見つめながら、ボソッと言った。
「これ、休みの征の同。保護者サイン、お父さんの名でいてしてって、先に言われたから」
私はペンを取り、息子の目ので、保護者氏名の欄に「神直」と署名し、自分の認印を力く押した。
用を受け取った健太は、その文字をじっと見つめ、さく呟いた。
「……お父さんの字、初めて見たかも」
胸の奥が、ツンと痛んだ。
「健太」
「なに?」
「征、が必なら言えよ。……曜の午なら、を空けられる」
健太は驚いたように目を見張り、それからし照れくさそうにを擦った。
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「……うん。必になったら、言う」
息子が部をていく背を見送りながら、私はく息を吐いた。失われたを埋めるには、まだまだがかかるだろう。だが、閉ざされていた扉の隙から、微かなが吹き込んできたような気がした。
そして、の第曜。
計の針が午を回った頃だった。
静まり返ったリビングで、私が持ち帰った仕事の資料に目を通していると、テーブルのに置いてあったスマートフォンが、く震えた。
ピコン。
週、私の常を奈落の底へ突き落とした、あの無質な通音だった。
臓が瞬、ねがった。
画面を覗き込む。
【〇〇タワーマンション管理組】械式駐(区画B-14)利用資格再承認および定期パス効化完のおらせ
続いて、もう通。
【ファミリーギガ】主契約者変更およびファミリーシェアアカウント再設定完のご案内
画面を見つめたまま、私はゆっくりと息を吐きした。
通目。
失われたつのライフラインが、今、すべて私のによって、私たちの対話によって、再びこのに結線された瞬だった。
画面を見つめる私の界の端に、湯気のつマグカップがつ、コトンと置かれた。
真由美だった。
彼女は温かい麦茶の入ったマグカップを私のに押しし、自分も向かいの席に腰をろした。
術の傷は順調に塞がり、はコルセットをして過ごせるようになっていた。
「……つ目、届いたの?」
真由美が尋ねた。
「ああ」
私は画面を彼女に向けた。
「駐と、ネットだ。これで、全部元通りになった」
真由美は画面の文字を静かに見つめ、それからふっと、柔らかく息を漏らした。
それは、病で見せたあのたい嘲笑でも、あのの絶望の涙でもない、疲れ切った戦友を労うような、穏やかな笑みだった。
「お疲れ様、直さん」
「……おもな」
私は温かいマグカップを両で包み込んだ。
物のほうじ茶のりが、腔をくすぐる。
「真由美」
「ん?」
「……悪かった」
私はカップの縁を見つめながら、静かにをいた。
「俺は、料をに入れていれば、庭なんてものは全自で回っていくとい込んでいた。をさないことが『信頼』だとうぬぼれていた。でも違った。俺はただ、活という臭い現から逃げて、責任を負う痛みを全部おに押し付けていただけだった。そのくせ、何か歯が狂えば、全な所からおを責めてていたんだ」
真由美は麦茶をすすり、両でカップを握りしめた。
「私もよ」
彼女の声は、驚くほど澄んでいた。
「私も、違っていたわ」
「おが?」
「ええ」
真由美は窓の、くに見える首都速のオレンジのの帯を見つめた。
「全部で抱え込んで、あなたに相談もせずに決めていくことを、私は『献』や『犠牲』だとい込んでいた。
でも、違ったのよね」
真由美は自嘲気に首を横に振った。