"妻の手術翌朝、七通の解約通知" 第16話
そしてお父さんの介護保険の自己負担。毎、計からていくおは増える方だった。私、あなたに計簿を見せて相談したわよね。『直さん、活費の配分をし見直してほしい』って」
覚えている。
確かに真由美は、ノートをいて私のに座ったことがあった。
あの、私は残業帰りの苛ちに任せて、こう言い放ったはずだ。
『誰のおかげでこのが買えたとってるんだ。俺がで稼いできているから、おたちは呑気に暮らせてるんだろうが。取りの範囲内でやりくりするのが主婦の腕の見せ所だろ。りないなら、おがを買うのをやめればいいじゃないか』
「……なんて、ここで着も買ってないわよ」
真由美は、自分のパジャマの袖を指先でつまんだ。
「私が着ているは、全部ユニクロのセール品か、独代のものよ。美容院にく頻度を半に回に減らし、スーパーの見切り品を買い集めて、週のパート代を全額活費に補填しても、毎万円の赤字がたの。その赤字を埋めるために、何を削ればよかったの? 健太の費? それとも、あなたのゴルフ代?」
「……」
「削れる固定費は、保険しかなかった。あなたの保障を半分に減らしても、宅ローンの団信(団体信用命保険)があるから、あなたがんでもこのは残る。
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健太の学資保険だけは絶対にをつけたくなかった。だから……番優先順位のい、私のガン特約を削ったのよ」
「真由美……」
「私が病気にならなければ、それで済む話だったから。でも、神様は悪ね。削ったに、こうしてお腹を切ることになったんだから」
彼女は自虐にさく笑った。
その乾いた笑い声が、私の胸をナイフのように抉った。
彼女が命を削るようにして捻した万千円で、私は同僚と級なコースでゴルフを回り、ブランド物のドライバーを買い、夜ので部に偉そうに酒を奢っていたのだ。
「そして、お父さんのこれよ」
真由美は枚目の——訪問入浴の同を、私の目のに突きつけた。
「あなたが最も激している、この類。私が義父を見捨てて、お義母さんに介護を押し付けた元凶だとあなたが信じ込んでいる、この枚」
真由美の瞳が、く、暗く沈んだ。
「の、お義父さんの認症がんで、自宅のお呂で暴れるようになったの。お義母さんでは支えきれなくて、お義父さんが浴槽で滑ってを打ったのよ。救急を呼ぶ騒ぎになって、ケアマネの坂井さんが『すぐに訪問入浴の専業者を入れましょう』と提案してくれたわ」
「なら、なぜそれを断ったんだ! 専業者に任せればよかっただろうが!」
「業者を入れたら、介護保険の自己負担限度額を超えて、毎万円の持ちしになるって言われたのよ!」
真由美の声が、再び張り詰めた。
「私、あなたに話したわよね。の、平のお昼休みに。お義父さんが怪をしたこと、訪問入浴を入れるには万の実費が必になること、実のだけではりないから、うちから援助できないかって」
私の記憶の糸が、プツリと繋がった。
の。型プロジェクトのコンペの真っ最だった。
真由美からの着信に苛ちながら話を取り、でまくしてる妻の話を、私は途で遮った。
『今、役員へのプレゼン直なんだよ! 親父の呂の話なんて、にしてくれ! って、おは俺をATMか何かだとってるのか?! うちにそんな余裕があるわけないだろ! 介護保険の範囲内で収まるように、ケアマネと相談してうまくやりくりしろ! 度と仕事にそんな細かいことで話してくるな!』
そうだ。
私が、そう命じたのだ。
『介護保険の範囲内で収まるように、うまくやりくりしろ』と。
「……いした?」
真由美の静かな声が、私の朶を打った。
「『範囲内で収まるようにやりくりしろ』。それがの主である、あなたのした業務命令よ。だから私は、坂井さんとを抱えて相談したの。枠内に収めるためには、訪問入浴を諦めるしかない。その代わり、私が週に回、実へ通ってお義父さんの体を拭き、お義母さんとでお呂に入れる体制を作ったのよ」