"妻の手術翌朝、七通の解約通知" 第4話
ただ、の波が切っていない、い底のような静けさだけが漂っていた。
「……直さん。どうしたの、仕事は」
かすれた、しかし落ち着き払った声だった。
その平然とした態度が、私のの導線に気にをつけた。
「どうしたの、だと?! よくそんな々しいが利けるな!」
私はポケットからスマートフォンを乱暴に引き抜き、ベッドの元にあるオーバーテーブルのに叩きつけるように置いた。いプラスチックが甲い音をてる。
「これを見ろ! 画面を見ろよ! 今朝、私の携帯に何が届いたかってるだろうが!」
真由美は線を落とし、画面に並ぶ通を瞥した。だが、表を変えようとはしない。
「駐が使えなくなってビルのでち往した! コンビニでカードをしたら利用止だ! のネットも、おと通っていたジムも解約されている! それだけじゃないぞ! さっき実の母さんから泣き叫ぶ話がかかってきた! 親父のデイサービスの予約まで勝にキャンセルしたそうだな?! 息子の学の引き渡しカードまで登録抹消だと?! 体何の真似だ!」
私の号が、カーテンで仕切られた狭い空に反響した。
隣のベッドから、気まずそうに咳払いをする音が聞こえる。だが、今の私には周囲を気遣う余裕など微もなかった。
「昨、私が見いに来なかったからか?! たかが分の説に顔をさなかったからって、こんなの込んだ嫌がらせをして私に報復するつもりか?! 子供みたいな真似をするな! 私は今、午から役員会なんだぞ! 私のキャリアを潰す気か! 今すぐそのスマホで全部元に戻せ! 話本で済むなら今ここで話しろ!」
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気にまくしてた私の肩は、激しい呼吸でしていた。
これだけ鳴りつければ、いつもの真由美なら怯えたように目を伏せ、『ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったの』と涙を浮かべて謝罪するはずだった。、夫婦喧嘩になれば、常に最は彼女が折れることで幕を引いてきたのだから。
しかし、真由美は泣かなかった。怯えもしなかった。
彼女は腹部のあたりをでそっと押さえ、眉に微かな痛みのをらせながら、さく息を吐きした。
「……声をすのはやめて。の患者さんに迷惑よ」
「質問に答えろと言っているんだ! おがやったんだろうが!」
「答えているわ」
真由美の線が、静かに私の目を射抜いた。
その瞳の奥にある徹なに、私は気圧されそうになった。
「私が今、それを解約したんじゃないわ」
「嘘をつくな! 現に今朝の半過ぎから、て続けに通も解約通が届いてるんだぞ! お以に誰がやるって言うんだ!」
「嘘じゃないわよ」
真由美は、まるでの業務誌を読みげるかのような、淡々とした調で言葉を継いだ。
「今は、でしょう」
「……あ?」
「度末の、最終よ」
彼女の言葉のが、すぐには脳に浸透しなかった。
度末。もちろんっている。だからこそ私は今、会社で決算の数字と戦わなければならなかったのだ。
それがこの通の嵐と何の関係があるというのか。
「私が今朝、ベッドので解約続きのボタンを押したわけじゃないの」
真由美は、点滴のチューブが揺れるのを静かに見つめながら言った。
「それらは全部、今で契約期が満して、勝に終しただけよ」
病の空気が、ふっと凍りついたような気がした。
「……満?」
私のから、抜けなオウム返しが漏れた。
「何を言ってるんだ。満って……自更じゃないのか? クレジットカードも、マンションの駐も、普通は勝に引き落とされて、勝に契約が続いていくものだろうが!」
私の言葉を聞いた瞬、真由美の唇の端が、かすかに吊りがった。
それは笑みだった。
だが、これまでので度も見たことのない、え切った、侮蔑と諦の入り混じった笑いだった。
「勝に?」
真由美は掠れた声を漏らした。
「直さん、あなた、本当に何もらないのね」
「何をらないって言うんだ!」
「世ののあらゆる続きが、全部『勝に』続いていくと本気でっていたの?」
真由美はシーツのに置いたの指を、本ずつ折るようにして話し始めた。