"妻の手術翌朝、七通の解約通知" 第3話
それが、ピンポイントで、同に止している。
(真由美だ)
確信が、どす黒いりとなって胃の底からせりがってきた。
あいつがやったのだ。
昨、病院にかなかった私に対する当てつけだ。
ベッドので持ち無汰になった妻が、スマートフォンを操作し、夫に対する嫌がらせとしてつひとつ解約続きを踏んだに違いない。
『仕事なら仕方ないわね』などと物分かりのいい顔をしておきながら、裏では夫の社会信用と活の基盤を質に取り、湿な復讐劇を仕掛けていたのだ。
なんて湿な女だ。
、誰の稼ぎで自由のない暮らしができていたとっているのか。都のタワーマンションにみ、子供を私に通わせ、何自由ない活を提供してきた夫に対し、たかが半の見いを怠っただけで、ここまで骨な報復をしてくるのか。
りで指を震わせながら、私は真由美の携帯話の番号をタップした。
に当てた受話器から流れてきたのは、械なアナウンスだった。
『おかけになった話は、波の届かない所にあるか、源が入っていないため……』
「……ふざけやがって!」
私は荒々しく通話を切り、ステアリングを力任せに叩いた。クラクションがく鳴り響き、歩を歩くサラリーマンたちが驚いたようにこちらを振り返る。
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計を見る。午分。
からは部を集めての事ミーティングがあり、午からは役員会だ。私のキャリアにとって、これ以ないほどなだった。
だが、このまま会社にけるはずがなかった。駐にも入れず、クレジットカードも止まり、実の母はパニックになり、息子の学からは緊急の登録を抹消されているのだ。
私は携帯を取りし、営業部の副部の番号を呼びした。
「あ、か。私だ。……すまないが、急激な体調良……いや、庭の緊急事態が発した。午の事ミーティングは君の方で回してくれ。役員会の、午番には必ず戻る。資料の最終確認だけ頼む」
部の困惑した返事を最まで聞かずに通話を切り、私はを急発させた。
向かう先は、真由美が入院している都医療センターだ。
病で優雅に横たわりながら、夫が往往する姿を像してせせら笑っているであろう妻の顔が目に浮かんだ。絶対に許さない。その病に踏み込んで、この卑劣な嫌がらせを今すぐすべて撤回させてやる。
アクセルを踏み込む私のには、これまでの結婚活で度も抱いたことのないほどの激しい敵が込められていた。
医療センターの駐にを滑り込ませたのは、午分を回った頃だった。
来の受付が始まり、ロビーは齢の患者たちで溢れかえっていた。漂う消毒液の匂いと、子の軋む音。その緩で静かな空が、焦燥に駆られる私の神経を余計に逆撫でした。
エレベーターに乗り込み、階の科病棟へ向かう。
ナースステーションのをに通り過ぎ、案内板で確認した病のでち止まった。
部の入りに掛けられた名札のに、「神真由美」の文字を見つける。
ノックもそこそこに、私は引き戸を乱暴にけた。
ガラガラという乾いた音が病に響き渡る。
番奥の、窓際のベッド。仕切りのカーテンは半分ほど引かれていた。
真由美は、そこにいた。
ベッドのリクライニングをわずかに起こし、ぼんやりと窓のの曇り空を眺めていた。腕には点滴の針が刺さり、透なチューブがスタンドへと伸びている。腹部をかばうように掛け布団のに添えられた両はく、化粧気のない顔は気にかった。普段、ので見せる姿よりも、ずっとさく、脆そうに見えた。
しかし、私の目にその痛々しさは映らなかった。
気を含んだ音を響かせながらベッド脇まで詰め寄り、周囲の目を遮るように、シャッと荒々しい音をててカーテンを閉め切った。
「真由美」
く、唸るような声で妻の名を呼んだ。
真由美はゆっくりと首を巡らせ、私を見げた。その瞳には、夫が朝番に駆けつけてくれたことに対する驚きも、堵のもなかった。