"三十二人目の卒業写真" 第2話
っていながら、、完全に忘れったことにしてきてきたのだ。
私はちがり、台所の換気扇のへ向かった。煙は何もにやめていたが、無識にポケットを探ってしまうほど、揺が全を支配していた。
計の針は午を回っていた。 壁の古い振り子計の刻む音だけが、元で断罪の鐘のように響き続けていた。
もできないまま、朝を迎えた。 カーテンをけると、く濁ったのがリビングに差し込んできた。 机のには、昨夜のまま通のが然と並んでいる。そので、あのい封筒だけが、まるで触れてはならない毒物のようにたくって見えた。
私は斎に入り、本棚の最段から冊のいアルバムを引き抜いた。 緑の布張りの表。箔で押された文字は、経劣化でかすかに剥げかけている。
『昭度 町央学 第回卒業記』
私が初めて教から「組任せてみるか」と背を押され、探りで担任を務めげた62組のアルバムだった。 ページをめくると、見返しの部分に、当の全徒と教職員の顔写真が並んでいる。 さらにめくると、62組の集写真があった。
体育館の正面玄関、段のに並んだ。 列央には、歳だった私が、慣れないダブルのスーツを着て緊張した面持ちで座っている。
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その周囲を取り囲む、詰め襟やセーラーを着た子供たちの笑顔。 、、と、私は指で数えていく。 男子名、女子名。 計名。
次のページをく。 そこには、文部省の規定に則った公な学籍順に、の個写真が然と角い枠のに収められていた。、将来の、直のサイン。 どこを見渡しても、欠席者の丸い枠などつもない。 全員が誇らしげにを見つめ、全員が完璧に「卒業」していた。
「……いない」
呟いた声が、斎の壁に吸い込まれた。 当然だ。載っているはずがないのだ。 彼女は、最初からこのアルバムのどこにもしてはならないだったのだから。
私は震える指で受話器を取った。 居の黒話のダイヤルに指をかける。 昨夜の同窓会で配られた、連絡先のプリントが元にあった。代になった教え子たちの携帯話の番号が並んでいる。
最初にかけたのは、幹事の藤だった。 呼びし音が回鳴った、聞き慣れた元気な声が聞こえてきた。
「はい、藤です」 「あ、藤か。……藤田だ」 「あ、先! 昨はありがとうございました! 無事に帰れましたか? ちょっとみすぎたんじゃないですか、先」
受話器の向こうから、いかにも休の朝といった寛いだ声が返ってくる。テレビのニュースの音がさく混じっていた。
「ああ、昨は本当に楽しかった。ありがとう。……すまないな、朝くから」 「いえいえ、全然丈夫ですよ。みんな本当にんでました。先にんでもらえて、僕も幹事やった甲斐がありましたよ」 「それでな、藤。……し、訊きたいことがあるんだ」 「はい? なんですか?」
私は元のい便箋を見つめ、唾をみ込んだ。 のこと、すぎた通のことは、どうしてもにせなかった。それを言えば、私が何に怯えているのかを自分から告してしまうことになる。
私は、慎に言葉を選びながらをいた。
「あの……の、卒業アルバムの写真を撮ったのことなんだが」 「え? 卒業アルバムですか?」 「ああ。ほら、体育館のの段で、全員で集写真を撮っただろう。あの……私が、職員の奥に座らせていた子のことを、覚えているか?」
受話器の向こうが、瞬だけ静かになった。 テレビの音声だけが虚しく響いている。 やがて、藤の拍子抜けしたような笑い声が返ってきた。
「先、何言ってるんですか。職員の奥?」 「……覚えていないか?」 「覚えてないも何も、そんなのいませんでしたよ。僕たち、朝からみんなで教で騒いでて、用務員さんにられて、そのまま全員で並んで写真撮ったじゃないですか。誰か職員にいたんですか? 所のクラスのやつとか?」 「いや……そうではなくてだな」
「先、やっぱりまだ酒が抜けてないんじゃないですか? それか、のの教え子とごっちゃになってますよ。