"顔合わせのすっぽかしと五通の裏切り" 第8話
「本当は、もっとくおに真実を伝えるべきだった。だが、途半端な段階でらせておを混乱させたくなかったし、何より決定なかぬ証拠を集めて、おが奴に言いくるめられないようにしたかったんだ。……それに、おがあまりにも幸せそうだったから、その笑顔を壊すのが怖くて、ギリギリまで言いせなかった。……事なことをずっと隠していて、本当にすまなかった」
をげる父の姿を見て、私は涙を拭った。 父を責める気持ちなど、微も湧かなかった。むしろ、娘の将来を守るために、どれほどを砕き、証拠を集めてくれていたのかをり、い謝が胸を満たしていた。
「……ううん、お父さん。謝らないで。今、こうして真実を教えてくれたからこそ、私は目を覚ますことができたのよ」
私は溢れる涙を指先で拭いると、鏡に映る自分の顔を真っ直ぐに見据えた。 泣いている暇などない。私をもてあそび、利用しようとしたあの男に、相応の報いを受けさせなければならない。 私は着物の袂を握りしめ、徹な決を込めて父に告げた。
「私、今の顔わせにはかないわ。……約束のを破れば、弘は違いなく、私を鳴りつける話をかけてくるはずよ。お父さん、その、私のそばにいてくれる?」
私の言葉を聞いた父は、力い差しで頷き、胸を張った。
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「当たりだ。おは俺の切な娘だ。誰にも好き勝にはさせんよ」
その瞬、私ので、弘という卑劣な裏切り者への、徹底な反撃の蓋が切って落とされたのだった。
料亭での顔わせの集は、午半に設定されていた。 事に「かない」と連絡を入れるのは簡単だった。だが、私はあえて、弘にも、あちらの両親にも切の連絡を入れなかった。
連絡を入れずにを過ぎた、彼が体どんな態度を取ってくるのか――その本性を、最の最まで見極めてやりたかったからだ。 もし、彼が私のを本気で案じ、「何かあったのか? 事故に巻き込まれたんじゃないか?」と配してくれるようななら、ほんのわずかでも反省の余があったのかもしれない。 けれど、最の彼のモラハラぶりを見れば、結果がどうなるかはを見るよりらかだった。
案の定――約束の半を分ほど過ぎた、デスクのに置かれていた私のスマートフォンが、けたたましいバイブレーションと共に鳴り響いた。 画面に浮かびがる『弘』の文字。
私は呼吸を度し、隣につ父と線を交わした。父は無言で力く頷いてくれる。 私は通話ボタンをスワイプし、スピーカーをオンにして元へづけた。
「……もしもし」
私の静かな第声に対し、受話器から返ってきたのは、冒のあの醜悪極まりない罵声だった。
『集過ぎてるぞ! く来い! 俺の嫁になる自覚があるのか!? 事な顔わせに堂々と遅刻するなんて、調子に乗るな!』
予通り――いや、予を遥かに回る浅ましさだった。 自分はデートに平気で分もも遅刻し、ドタキャンすら繰り返しておきながら、私がわずか分遅れただけで、親族が待つ料亭の個から鳴り散らしてくるのだ。
私はりを通り越してめ切ったで、静かに問いかけた。
「ねえ……なんで私がそっちにかないか、当たりはないの?」
『当たりだと!? 俺がおに何かしたっていうのかよ! ふざけるな! 顔わせのに来ないに、俺に説教でもするつもりか!? やっぱりおは調子に乗ってるな!』
受話器の向こうで、自分は片の非もないと言わんばかりに喚き散らす弘。 その言葉を聞き届けた瞬、隣で拳を震わせていた父が、私のから端末を奪い取った。
「調子に乗ってるのは、おの方だ!!」
父の声が、部を揺るがした。 そのの展は、まさに冒の通りだった。 父親がたとるや否や、弘の声はけないほどさくなり、しどろもどろになって言い訳を並べてた。
父が「おの辺調査は済んでいる。紗栄のに、も恋がいるじゃないか」と事実を突きつけると、弘は「で、でたらめですよ!」と泣き叫び、子供のように喚き散らした。
『紗栄! おは俺の婚約者なんだから、俺を信じてくれるよな!? 頼むよ!』