"「会計は嫁」の還暦祝いと18万6740円" 第30話
自分のでち、自分のおできる。
私が5彼女たちに分かって欲しかったことの答えが、そこにあった。
美代子がメニューを広げた。
「さあ、お昼にしましょう」
彼女は楽しそうに選ぶ。
「私、ここの替わりランチが好きなの。くて美しいのよ」
私たちはそれぞれ、1000円以内の頃なランチセットを注文した。
事の、美代子はパート先での失敗談や、1暮らしで作った節約レシピの話を楽しそうに語った。
そこには親戚の噂話や満、誰かを見すような見栄は切なかった。
ただの等の1の女性の常が語られていた。
1。
事が終わり、員が伝票をテーブルの端に置いていった。
3000円の支払い。
以の田ならここで姑が私に目配せをし、私が無言で伝票をに取る流れだった。
浩司も私も、無識にしだけ構えてしまった。
しかし美代子は会話を続けながら、ごく自然な作で伝票を元に引き寄せた。
そして自分の財布をき、1000円札を1枚取りした。
「私、替わりランチだったから850円」
美代子はその1000円札を、浩司のにそっと置いた。
「浩司、悪いけどお会計お願いしていい?でお釣りちょうだいね」
浩司は瞬だけポカンとをけ、それから破顔した。
「ああ、分かった」
浩司も自分の財布からおをし、私の分を受け取ってレジへと向かった。
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私はテーブルに残された美代子と2きりになった。
私が声をかける。
「お義母さん」
美代子は穏やかな目で私を見た。
私は優しく言う。
「仕事、無理しないでくださいね。疲れたは浩司に言ってくれれば、しは力になりますから」
それは見栄でも義務でもない、私のからの言葉だった。
美代子は嬉しそうに目を細めた。
「ありがとう。でも今は自分の力でどこまでやれるか、試してみたいの」
そして美代子はテーブルので両をわせた。
「エミさん。私に本当の族のあり方を教えてくれて、本当にありがとう」
げさな謝罪や涙はなかった。
ただ静かで、まっすぐな謝の言葉だった。
私はさく首を横に振り、微笑みを返した。
「私の方こそ、美しいランチのをありがとうございました」
崩れ落ちた虚栄の。
その瓦礫のから私たちは、それぞれしい自分の居所を見つけしていた。
誰かの犠牲のに成りつ平はもうどこにもない。
18万円の伝票が始まりだったい戦いは、こうして1枚の850円の1000円札によって完全な終わりを迎えたのだ。
1。
季節は巡り、再びが訪れた。
あの、義実が売りにされてから、私たちの活は完全にしいリズムを刻んでいる。
夫の浩司は自分の遣いの範囲でやりくりする活が、すっかり板についた。
見栄を張って親戚の宴会で盤振るいすることも、輩に無理して奢ることもなくなった。
たまの休に2で所のスーパーへき買いしをして、夕を作る。
そんなささやかな常が、今の私たちにとっての普通になっていた。
義父のしのぶはあれ以来、1度も顔をわせていない。
の噂で、彼が狭いアパートで1相変わらず文句ばかり言いながら暮らしているとは聞いた。
浩司も無理に連絡を取ろうとはしない。
浩司は結論をした。
「親父はあそこから歩もかないことで、自分のプライドを守ってるんだよ」
私たちは義父の孤独をれむことはしない。
それは彼自が選び取ったの結末なのだから。
方で、姑の美代子とは定期に会うようになっていた。
に1度か2度、苗ちゃんも交えて3でお茶をんだりランチする。
美代子のパート通いは、1経った今でも続いている。
彼女は照れながら言う。
「最、若い子にレジの打ち方を教えるになったのよ」
そうぼやきながらも、その顔はどこか誇らしげだ。
自分で働き、自分で活費を稼ぎ、自分のでつ。
その当たりの自が、彼女の顔からこびりついていた見栄という険しさをすっかり削ぎ落としていた。
そして5。
美代子は61歳の誕を迎えた。
還暦というきな節目だったは、親族18を巻き込んだ騒になり、結局全てが崩壊した。
今の誕は、族だけのさな事会になった。