"結婚翌朝の平手打ちと専務剥奪" 第8話
「おっしゃる通りです。先ほど私が確認したところ、にこぼれた会の噌汁だけ、皆様のものとは全く違う汁が使われていました」
佐は断言した。
「塩分も見事に調されていました」
その事実が突きつけられた瞬、広の空気が変した。
私がただ遅刻したわけではないこと。
誰よりも義父の体を気遣い、1分だけ特別な事を用していたこと。
それが決して言い訳ではない。
事実として、彼らの目のに示されたのだ。
志がずさりをしながら呟く。
「ば、馬鹿な……」
信じられないという表だった。
弓が切り声をげたが、その声には先ほどまでの余裕はなかった。
「嘘よ! そんなの、からいくらでも言えるじゃない!」
義父は自分のにこぼれた、しのい噌汁の染みをじっと見つめていた。
そして、震えるで持っていた薬袋をそっと畳のに置いた。
義父が私を見つめる。
「美咲さん、君は私が薬をむに、あの事にをつけてしまうかもしれないとったのか」
私ははっきりと答えた。
「はい。だから私は卓をひっくり返しました」
私は決して目をそらさなかった。
「誰にもをつけさせないために」
私は力く言い切った。
「私は朝を壊したんじゃありません。命を粗末にする卓を止めただけです」
その言葉は、静まり返った広にくく響き渡った。
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義父はゆっくりと目を閉じ、く息を吐きした。
そして次に目をけた、その厳しい線は、青ざめてち尽くすかよと志に向けられていた。
義父がく押し殺したような響きで呼んだ。
「かよ」
義母のかよはビクッと肩を震わせ、引きつった笑いを浮かべた。
彼女は震える声で取り繕う。
「な、何? あなた、そんな怖い顔をして」
かよは必に言い訳をする。
「これは全部、この嫁が自分の遅刻をごまかすために言っている……」
義父の鳴り声が広の空気を切り裂いた。
「黙れ!」
かよは言葉をみ込んだ。
先ほどまで泣き真似をして私を責めてていた弓も、青ざめてをつぐむ。
義父は畳のに放りされた私のスマートフォンを見つめた。
そして、料理の佐に向かって静かに尋ねた。
「佐、おはさっき、あの調料が古い試作品だと言ったな」
義父は厳しい線を向ける。
「なぜそんなものが台所にあったんだ?」
佐がくをげて答える。
「はい。あの調料は数に料亭で発しようとしたものでしたが、部の成分がすぎたため、お客様にすことはできないと判断し、奥の蔵に封印しておりました」
佐はさらに説を続ける。
「私もすっかり忘れていたのですが、今朝厨の若い衆が、奥様が蔵から古い瓶を持っていかれたと教えてくれまして」
佐は顔をげた。
「嫌な予がして、急いで駆けつけた次第です」
佐の言葉に、義父の顔がみるみるうちにりで歪んでいく。
義父はかよを睨みつけた。
「かよ。おは封印されていたものだとっていて持ちしたのか」
かよは必に首を振った。
「ち、違うわ! 私はただ、し変わったのものがないか探していただけで」
彼女はしどろもどろになる。
「本当に危険なものだなんてらなかったのよ」
かよはさらに言い訳を続ける。
「それに、いくらし変なだからって、しにしたくらいでぬわけじゃないでしょう」
かよは自分のを軽く見せようとした。
「し具が悪くなるくらいなら、嫁が慌てる姿を見られるとって……」
その言葉がた瞬、広は氷結したようにえ切った。
「し具が悪くなるくらいなら」
かよは今、自分ので状したのだ。
義父の体調を悪化させるかもしれないと半ば分かっていながら、私を試すためにわざとそれを使わせたと。
義父の声はりを通り越して震えていた。
「お、自分が何を言っているのか分かっているのか?」
義父はかよを激しく叱責する。
「嫁をいびるためだけに、自分の夫の命を秤にかけたというのか!」
かよはずさりしようとした。
「そんなつもりじゃ……」
しかし義父の鋭い線に射すくめられ、そのにへたり込んだ。
志が慌ててを挟んだ。
「親父、待ってくれ!」
彼はまだ現実を受け入れられないのか、必に母親をかばおうとした。