みかん小説
本棚

"雑炊を疑った息子とノロ陽性の判定" 第2話

泣き叫んで私は悪くないと訴えるのは簡単です。

しかしそんなことをしても、この子たちのい込みは変わらないでしょう。

それに産の美咲さんをこれ以疲れさせるわけにはいきません。

「ごめんなさいね。」

私は静かにそう言い、ベッドから歩がりました。

「お邪魔だったわね。」

健太はほっとしたような顔をして、すぐに美咲さんの背をさすり始めました。

私は帰り支度をしようと、部の隅にあるさなテーブルに目を向けました。

そこには、私が昨持ってきたプラスチックの保温容器が置かれていました。

には美咲さんが残した雑炊がまだしだけ入っています。

ちょうどその、ドアがき、若い護師が入ってきました。

護師は美咲さんの体温を測り、点滴の様子を確認しています。

護師はテーブルのの容器に気づくと、申し訳なさそうに言いました。

「あ、こちらのお事ですが。」

護師は健太の方を見ました。

「の理由もありますので、こちらで処分させていただきましょうか。」

健太がすぐにお願いしますと言おうとをきかけました。

「捨ててください。」

しかし、私はそれより瞬く、静かにしかしはっきりとした声で言いました。

「いいえ、私が持ち帰ります。」

健太が怪訝な顔で私を見ました。

「うわ、まだそんなのべる気かよ。

広告

」

健太は顔をしかめました。

「気持ち悪いな。」

私は持っていたバッグから保温バッグを取りしました。

「べないわよ。」

私はく容器をに取りました。

「ただ片付けるだけだから。」

私は容器の蓋がしっかりと閉まっていることを確認し、持参した保バッグのに丁寧に入れました。

ただ捨てるわけにはいきません。

これはただの残り物ではないのです。

もし本当に私の雑炊が原因なら、保健所がく事態になります。

原因を特定するための証拠として、残しておかなければならないのです。

「じゃあ帰るわね。」

私は保バッグのファスナーを閉めました。

「お事に。」

私は息子夫婦に背を向け、病をました。

背から2のひそひそとした話し声が聞こえたような気がしましたが、私は度も振り返りませんでした。

たい廊を歩きながら、私は保バッグの持ちをく握りしめました。

私の指先は30の過酷な仕事と消毒液で、すっかり荒れてしわだらけになっています。

それは私が守り抜いてきた全と誇りの証でした。

健太はまだ何も分かっていません。

美咲さんも自分のい込みに疑いを持っていません。

彼らは、私が嫁に迷惑をかけたダメな姑として逃げ帰ったとっているのでしょう。

けれどこのの2はまだりませんでした。

私が持ち帰ったこのさな容器のが、数、彼らの根拠のない自信を完全に打ち砕くことになるということ。

そしてこの直、この同じ産婦科病棟で、彼らの像を絶する事態が静かにき始めるのです。

病院をてたいに当たると、しだけがすっきりしました。

私はバスまでのを歩きながら、保バッグのみを腕にじていました。

そのさは物理なものというより、私自が背負い込んできたのさのようにえました。

に帰り、私は真っ先に台所へ向かいました。

持ち帰った容器を保バッグから取りし、そのまま蔵庫の番奥、チルドに慎にしまいました。

今はまだこれをどうするか決めていません。

けれど、の経験がこれは捨ててはいけないと私に告げていたのです。

の蛇をひねり、鹸で入りにを洗いました。

首から指先まで、爪のからの平のシワまで。

30毎何回、何百回と繰り返してきた作です。

タオルでを拭きながら、私は自分の荒れたを見つめました。

夫をくしたのは7のことです。

健太が学を卒業し、ようやく就職して息ついた矢先の突然の病でした。

それからの私は、センターでの仕事にさらにのめり込むようにきてきました。

しみを忘れるためでもありましたが、何より子どもたちのに入るものを守るという責任が私を支えてくれたのです。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: