みかん小説
本棚

"午前四時十三分" 第8話

を説しない。

ただ、必なことだけを残す。

『直子さん』

『約束通り、美咲には何も話していません』

美咲の指が止まった。

『でも、もう私がいなくなったまで隠し続けることが正しいのか分かりません』

続き。

『あの子は、自分が選ばれなかったとっているかもしれません』

『でも、本当は逆です』

『あの子を選んだが、あのいたことをってほしい』

美咲は画面から目をせなかった。

。

誰と誰?

母。

そして。

もう。

メールの最。

『413分のことを、美咲に伝えるなら、全部ではなく、本当のことだけを』

『あの子が、自分を責めない形で』

そこまでだった。

美咲はスマートフォンを机に置いた。

のが追いつかなかった。

母は何を隠していたのか。

まれたのこと。

17の写真。

5の空。

そして。

相沢直子という名。

すべてがつにつながっているようで。

でも、まだだけが見えない。

翌。

美咲は父に話をした。

今度は、逃げずに聞くつもりだった。

「お父さん」

「……何だ」

父は、何かを察しているようだった。

「相沢直子っていう、ってる?」

沈黙。

い沈黙だった。

「どこでその名を」

「お母さんのメール」

父はさく息を吐いた。

「そうか」

その言で分かった。

父もっていた。

「誰なの?」

父はすぐには答えなかった。

「おがまれた病院の護師だ」

「護師?」

「当、母子センターにいただ」

広告

美咲は混乱した。

「じゃあ、何で母はそのに……」

父の声がくなる。

「由紀は、おを救ったのは自分だとっていなかった」

「どういう?」

「逆だ」

父は言った。

「由紀は、自分では決められなかった」

美咲は黙った。

「美咲がまれた」

「おの状態はかなり危なかった」

「医者は説した」

「このまま処置をするか」

「それとも別の方法を選ぶか」

「由紀は混乱していた」

父の声がし震える。

「母親なら、すぐ決められるとうかもしれない」

「でもな」

「自分の子供のをする判断なんて、誰だって怖い」

美咲は何も言えなかった。

「その、直子さんがいた」

「護師さん?」

「ああ」

「彼女が由紀に言った」

父はゆっくり続けた。

「あなたが今決めることは、この子のを奪うことじゃない」

「この子がきて、自分で選べる未来を残すことです、って」

美咲の胸が詰まった。

選べる未来。

その言葉。

母の記にもあった。

『この子には、私が選んだを歩ませてはいけない』

「じゃあ……」

美咲はさく言った。

「母は、そのとの約束を守っていたの?」

父は答えなかった。

その沈黙が答えだった。

そのの午。

美咲は相沢直子を探した。

話番号はメールアドレスから調べることができた。

現は、さな助産院を経営しているらしい。

話をかける。

回目の呼びしで、相がた。

「はい」

しい女性の声。

「相沢さんですか」

「はい」

「野美咲です」

数秒。

沈黙。

そして。

女性はさく息を吸った。

「……やっぱり」

「ごじだったんですか」

「いつか、あなたが来るとっていました」

その言葉に、美咲は戸惑った。

「私が?」

「はい」

相沢の声は穏やかだった。

「お母さんは、ずっと待っていましたから」

「私を?」

「違います」

しがあった。

「あなたが、お母さんを理解できるを」

美咲の胸に、しりが戻った。

まただ。

また母の話。

母の気持ち。

母の苦しみ。

「相沢さん」

美咲は声を抑えた。

「私は母を理解するために来たんじゃありません」

「じゃあ、何のためですか?」

「るためです」

「母が17、私を撮っていた理由を」

話の向こうで、相沢は静かに答えた。

「それをるに」

「つだけ覚えておいてください」

「野由紀さんは、あなたを失うことを恐れていました」

「でも」

「最まで恐れていたのは、あなたのではありません」

美咲は息を止めた。

「では、何を?」

相沢の答えは、静かだった。

「あなたが、自分ではない誰かのをきることです」

話が切れた。

美咲はしばらくけなかった。

母が17見ていたもの。

それは、自分の命ではなかった。

自分のだった。

しかし。

まだつだけ分からない。

なぜ母は。

5だけ。

写真をやめたのか。

そして。

なぜ201771に。

再び午413分から始めたのか。

美咲はもう度、写真覧をいた。

201771。

午413分。

その写真を拡する。

今まで見えていなかったもの。

窓の。

暗い。

のにまっている台の。

そして。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: